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彩雲国物語 第1シーズン 第三十五話 逢うは別れの始め

アニメ「彩雲国物語」を文章で見たい!という方のために。
(管理人のツッコミつき)


『』=モノローグ
ナレ:=ナレーション

地上波再放送(金曜深夜)にあわせてレビューしています
キャストについては、公式HPを参照のこと

★第35話は朔洵と静蘭の酒飲み対決のお話です★





◆◆◆

ナレ:(邵可)
静蘭と茶朔洵は、命をかけてサイを振る。
どちらが先に毒をあおるのか。
これまで茶家がなしてきた不正の数々が明らかにされ、茶家ゆかりのものは残らず捕縛されていった。
混乱の中、茶家当主後継者となった克洵。
それは最も重い責任と罪を負うことを意味していた。

(タイトル)

朔洵の部屋で、静蘭と朔洵はさいころを振り続けていた。
静蘭「2-3」
その位置の器を取り、静蘭に差し出す朔洵。
朔洵「はい」
静蘭「…9年前、亡き茶太保の息子夫婦、春姫のご両親を殺すように仕向けたのはお前だろう。どう考えても、茶太保の弟、茶仲障だけで出し抜けるとは思えない」
朔洵「おや」
静蘭「茶太保にいつも遊びを邪魔されてうんざりしていた、どこかの生産性のない若造が、ちょっとした仕返しに茶仲障に入れ知恵したとしても、私は驚かないね」
朔洵「ふ~ん。ほどほどに、面白い話だね」
静蘭「お前の父親が追い落とされた理由も聞きたくないか?」
朔洵「苦労は人を成長させるようだね。かつての公子様も、随分小技が利くようになって。涙ぐましい努力に乾杯しようか」
静蘭「したきゃしろ」
朔洵「すっかり口が悪くて、苦労性になってしまった、元公子様の悲哀に乾杯」
飲み干す朔洵。
静蘭「全商連で調べてもらったのだが、茶本家では数種類の香が一度に注文されている」
朔洵「それで?」
静蘭「常習性が高く、徐々に精神にある作用を及ぼす香だ」
朔洵「よく知ってるね。当然、その香を注文していた人たちも分かっているんだろうね」
静蘭「ああ。お前の母と祖母だ」
朔洵「まああの二人ならやるだろうねぇ」
静蘭「恐らく、それもどこかの妙なことにやたら詳しい生産性のない暇人が、退屈しのぎに教えてやったのだろうがな」
朔洵「……まあ確かに、問われて答えてやった親切な人間はいるかもしれないね」
静蘭も酒を飲み干す。

静蘭『強い酒だ…喉が焼ける』



選定式の会場。燕青や影月たち以外、誰もいない。
影月「終わりましたねぇ」
燕青「ああ。よくやったな」
柴彰「州牧として、申し分のないお仕事でした」
影月「ありがとうございます」
秀麗「まだよ。まだ終わってないわ。あの男からつぼみを取り返さなくっちゃ」
燕青「…ああ」
秀麗「ちょっと、最後の一仕事に行ってくるわね」
闇の中を走っていく秀麗。
影月「大丈夫でしょうか。秀麗さん一人で…」
燕青「これは姫さんの問題だ。自分で取り返すのが筋ってもんだ」
柴彰「ええ」
燕青「こればっかりは、俺たちが手ぇ出すことはできねんだよ」



庭を走っている秀麗。



勝負中の二人。
朔洵「君は、というか、世の人はなぜそんなに器用なのか、教えてくれないか」
静蘭「器用? 何がだ」
朔洵「私はたった一人しか要らないし、それでいいと思っているのだけど、世の人、たとえば、君は違うだろう? 愛しの姫君のほかにも、ちゃんと大切な人がいる」
静蘭「…ああ、そうだ」
脳裏に浮かぶのは、いつも自分を慕ってくれた…
静蘭「かつて私にとって大切な人は、小さな弟ただ一人だった。けれど…今は違う」
朔洵「私には、たった一人しかなくて、彼女だけに、私の全部をあげようと思っているのに、他にも大切な人がいる君に、邪魔されたくはないな」
さいころを振る静蘭。
静蘭「私はな、茶朔洵。自分で言うのもなんだが、とてもわがままなんだ。欲しいものはすべて取る。何も選ばない。すべて、この手にとる」
朔洵「欲張ると、本当に欲しいものは手に入らないよ」
静蘭「お前には分かるまいよ。私がどんなに彼らを愛しているか…それがどれほど幸福か」
朔洵「確かに分からないな。別に分かりたくもないけど」
朔洵はサイを振り、器を受け取る。
朔洵「ねえ、もし私が姫君に甘露茶を入れてもらったと言ったらどうする?」
静蘭「どうせまた、お前がくだらぬ策でも弄したんだろうが。お嬢様の甘露茶は、おいしかっただろう」

(朔洵の回想)
朔洵「だから今度こそ、甘露茶を入れて欲しい」
秀麗「だめ」

朔洵「ああ…とても、おいしかったよ」



まだ走っている秀麗。

(秀麗の回想)
朔洵「甘露茶を入れてくれないと、私は死んでしまうよ」
(回想終わり)

秀麗『本当に? 何だってあんなに甘露茶を飲みたがったのかしら』



まだ勝負は続く。
静蘭「言っておくが私は、お嬢様にこの世で二番目に好きだと言われたぞ」
朔洵「何だそれは。全然自慢にならないじゃないか」
静蘭「一番目はこの世の誰もかなわない人だ」

(静蘭の回想)
静蘭「先ほどの一番は、どなたかお聞きしても?」
秀麗「ああ、父様よ。あんなダメ父でも、ずっと一番なのよね」
(回想終わり)

静蘭「だから二番目で十分だ。この意味が分からないとか、まさか言うなよ」
朔洵「相変わらず、いやな性格をしているね」
静蘭「誰に言われてもいいが、お前にだけは言われたくない」
(どっちもどっちですヨ)
朔洵「…いいな」
静蘭「は?」
朔洵「いいなぁと言ったんだよ。この世で三番目でいいから、私も彼女に言ってもらいたい」
その時になって初めて、静蘭は朔洵の顔色がかなり悪いことに気づいた。

静蘭『顔色が…もう時間がない』

静蘭「一つ聞く」
朔洵「君、質問が多いね。もしかして、私とよく知り合いたかったのかな? それなら最初からそう言ってくれなきゃ。ちょっとは、可愛がってあげたのに」
静蘭「お嬢様に花はちゃんと返したんだろうな」
朔洵「返したよ」
静蘭は立てかけておいた干將を手に立ち上がった。
静蘭「それならもう十分だ。この賭け、私が勝たせて貰うぞ」
朔洵「冗談だろ?」
静蘭は一撃で机をたたき割る。
朔洵は飛びのいて、部屋の壁にかけてあった武器に手をかけた。
朔洵「相変わらず、可愛げがないよね、君」
朔洵は静蘭の一撃を受けた。
静蘭「全部の杯に毒を入れるお前ほどじゃない」
朔洵「さすがだね」
飛びのいて間合いを取る二人。
朔洵「ちゃんと、無味無臭のを用意したのだけど、でも君だって、絶対負けない用意をしてきたじゃないか。ちょっと卑怯だと思うな」
(つまり事前に解毒剤を飲んでいたということなの?)
静蘭「お前相手に命かけてたまるか。速攻性なのに今立っていられるのは、お前も中和剤を飲んでいるからだろう」
(…やっぱりそうだったらしい)
朔洵「飲んでないよ。単に昔から暇つぶしで、いろいろと試していたら、耐性がついていただけだ」
静蘭「化け物め!」
そういって踏み出そうとした瞬間、視界が揺れ、足がぐらつく。
朔洵「大丈夫?」
体が動かず、膝をついた静蘭に。
朔洵「君、随分とお酒に強いね。実はね、このお酒、少し改良してあってね。どんな酒豪でも、たった一杯で倒れるくらいの度数なんだよ。それを平然と何杯も飲んだ挙句、運動してようやく回ってくるなんて、どんな体してるの」
静蘭「…!」
(化け物はお互い様です)
朔洵「さて、名残惜しいが私は行くところがあるのでこれで失礼するよ。君はもう少し、そこで休んでいたまえ」
刀を振り上げる朔洵。
静蘭は一瞬覚悟を決めたが、朔洵はろうそくを切り落とし、窓から部屋を出た。
朔洵「私との賭けに勝つとしたら、相手は君じゃない」



朔洵と春姫は、一室に監禁状態(?)
心配そうな克洵の手に、春姫は手を重ねる。
克洵「春姫…」
春姫「何も心配はいりません。私がお傍にいます。ずっと、一緒におります。ずっと一緒に」
その手に、克洵はさらに手を重ねた。



秀麗は広い庭にたたずんで、夜空を見上げていた。

秀麗『月がない…そっか、今夜は新月』

その時、どこからか二胡が聞こえてきた。
その音に気づく秀麗。弾いているのはあの人しかいない。
音に向かって走る秀麗。

秀麗『多分これが最後になる。私は州牧としてあの人を捕らえ、裁きにかけなくてはならない。だから…紅秀麗としてあの人に会えるのは、本当にこれが最後の最後』

迷いを振り切り、再び走り出す秀麗。



演奏が止まる。
朔洵「指が…動かなくなってきた…早くおいで、私の姫君。君が期待を裏切ることはない。だから早く」

その時茂みから音が聞こえ、息を切らした秀麗が姿を現した。
秀麗「何だって、こんな分かりにくいところにいんのよ、あなたは」
朔洵の手から、二胡が落ちる。
秀麗「ちょっ…」
様子がおかしい朔洵に駆け寄る秀麗。
秀麗「!」
朔洵は、口から血を流していた。
秀麗「なに…?」
自分の手にも、血が。
秀麗「なんなの、これ…病気だったのあなた!?」
その秀麗の手を取り。
朔洵「約束、だったね。君の大切なもの」
秀麗の手に、つぼみを乗せる。
秀麗「今はそれどころじゃ」
朔洵「君は、君は結局…白湯しかくれなかった」
秀麗「?」

(回想)
秀麗「あなた、お酒飲んでるでしょ? それもかなり。甘露茶だとお酒と変なふうに混ざって、具合が悪くなるかもしれないわよ。今日は白湯だけにして、ゆっくり寝なさいよ」
朔洵「甘露茶を入れてくれないと、私は死んでしまうよ」
秀麗「子供みたいなこと言って…」
それでも。
秀麗「体は大切にしないとだめなんだから、今日は白湯だけよ」
(回想終わり)

朔洵『あの白湯には、まだ私の中にも耐性のついていない、ゆっくりと効いてくる毒が入っていたんだよ』

秀麗「昨日までなんともなかったじゃない」

朔洵『そして甘露茶には、それを中和する薬が刻んであった』

秀麗「元気にふらふらしてたくせに、どうしてこんな」

朔洵『甘露茶を入れてくれないと死んでしまうといったのは、真実だったんだ』

秀麗「ねえ、これ、単に喉が切れたとかなんでしょう?」

朔洵『本当は真実を言おうと思っていたんだ…私を殺したのは君だよと。そうすれば、君は私を忘れない。君にとっての特別になれると思った』

秀麗「薬! 何か常備薬とかないの!?」

朔洵『生まれて初めて、自分以外の誰かのために、何ができるか考えた…そうすると、どう考えても君にとって、一番邪魔なのは私だった…でも、ほんの少し癪だったから、最後に賭けを用意したんだ…それを君は、苦もなく乗り越えた』

笑い出す朔洵。
秀麗「何笑ってんのよ、薬はどこよ!」

朔洵『いつも怒らせていたな。一度、笑った顔も見てみたかった…』

目を開けると、視界がぼやけ、秀麗の姿がぶれ始めた。
秀麗「薬はどこ!?」

朔洵『目が…最後まで残るとすれば…耳』

朔洵「二胡を、弾いて欲しいな」
秀麗「ふざけないで。もういい。影月君呼んでくる!」
行こうとする秀麗の袖を、思わずつかむ。
秀麗「なに?」
朔洵「こっちのほうがいいよって…何度も言ったじゃないか」
秀麗の髪が、静かに解ける。
朔洵「君は、一度も私の本当の名を、呼ばなかったね」
秀麗「…離して…影月君を呼んでくるの…」
秀麗の髪に、指を通し。
朔洵「君にとって…私は何番目だろう…」
秀麗「離して…お願い…」
朔洵は秀麗を引き寄せ、唇を重ねる。
朔洵「君のせいじゃないけれど…ついでだから、茶朔洵も君にあげるよ」
秀麗「…!!」
その言葉で、秀麗は気づいた。
秀麗「まさか…私のせい?」
朔洵「!…佳人薄命というじゃないか。不治の病は、いい男にはつき物なんだ」
ショックを受けている秀麗を見て。

朔洵『言わぬまま…逝くつもりだったのに…最後の最後で、こんな…』

朔洵「愛しているよ…君の二胡も、君の入れてくれたお茶も、君のすべてを…」
秀麗は朔洵の頬を張った。
秀麗「そんな言葉でお茶を濁そうったってそうはいかないんだから! 言うだけいって逝こうなんて、許さないわ! 名前なんて呼んでやらない。なんて呼べばいいのよ。私は若様しか知らない。私の名前だって、あなたはちゃんと呼ばなかったわ」
秀麗は立ちあがり。
秀麗「待ってて」
走り去る。
朔洵「私との賭けに勝つのは、君だ…君は本当に、特別だったんだ…」

朔洵『死ぬ時は未練などなく、逝くものだと思っていた…逢うは別れの始めというが…名前を呼んでもらいたかった…もっと二胡が聞きたかった…もっと一緒に過ごしたかった…愛していると…言わせたかった』

夜空を見上げて。

朔洵「月は…どこだ…?」



ところで、こちらは王都、貴陽。
夜空を見上げている劉輝。
劉輝「今宵は、新月か…」
楸瑛「どうかしましたか、主上。外に何か?」
劉輝「いや、不思議な気がしてな。秀麗が来て、静蘭が来て、闇が気にならぬほど、余の大切なものは溢れるほどにできたのだな」
楸瑛「はい」
劉輝「もちろん、そなたもちゃんと愛しておるぞ、楸瑛」
楸瑛「それはありがとうございます。ちなみに、秀麗殿と比べてどのくらいですか」
劉輝「何だそれは。比べることなど出来ぬぞ。昔は兄上だけ、たった一人でいいと思っていたが…今はもったいなくてそんなことは出来ぬ」
楸瑛「随分と欲張りですねぇ」
劉輝「王とはすべからく、欲張りなものなのだ」
楸瑛「欲張りなのに、一生懸命自制して頑張っていらっしゃいますね。えらいですよ」
劉輝「…あまり優しいことを言うと、余は甘えて泣いてしまうぞ。余は…今ちょっと情けない顔をしている気がする」
楸瑛「そうですねぇ、だいぶ」
劉輝「(すぐ近くに楸瑛がいてびっくり!)!」
楸瑛「でも、私は好きですよ。大丈夫。わたしたちが傍にいます」
劉輝「…もし、余が秀麗しか見えなかったら、彼女に会うまではひどく退屈で、出会ったらその分激しく燃えるろうそくのように生きて、尽きて、一人で死んでいく気がする。それはそれで、きっと後悔はしないだろうけど」
(演出で、朔洵と劉輝がダブっています)
劉輝「なあ楸瑛、やっぱり余は、大切なものがたくさん出来て、とても幸せだと思う」



茶州、茶家本邸で後片付けをしている影月たち。
そこへ、静蘭が何とかたどり着いた。
立てない静蘭に。
燕青「静蘭!」
影月「どうしたんですか!?」
静蘭「お…お嬢様は…」
燕青・柴彰「!」
影月「探してきます!」

庭を走っていると、影月は茂みの物音に気づく。それは。
影月「秀麗さん!」
秀麗も影月に気づく。
影月「よかった、ご無事で」
秀麗「早く来て!」



朦朧とする脳裏に、秀麗の声がこだまする。

秀麗『私の名前だって、あなたはちゃんと呼ばなかったわ!』

朔洵「秀、麗…」

朔洵の手から、力が抜けた。









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