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彩雲国物語 第1シーズン 第三十三話 覆水盆に返らず

アニメ「彩雲国物語」を文章で見たい!という方のために。
(管理人のツッコミつき)


『』=モノローグ
ナレ:=ナレーション

地上波再放送(金曜深夜)にあわせてレビューしています
キャストについては、公式HPを参照のこと

★第33話は春姫のお声が聞けるお話です★




◆◆◆

ナレ(邵可):
茶仲障に対し、朔洵との縁談をきっぱり断った秀麗。
しかし、つぼみのかんざしは依然として朔洵の手にあり、縹英姫の居場所もつかめずにいた。
ただ、克洵の行方に関しては、すでに目星は付いていた。



茶家本邸。
回廊を歩いている秀麗。ふと立ち止まり。
秀麗「お頭、いるんでしょう?」
ぶらり、と天井からぶら下がる翔琳。
翔琳「よく分かったな」
秀麗「何となくね。で、どうだった?」
翔琳「そなたの睨んだ通り、庭の外れにおかしな社があったぞ」
秀麗「やっぱり」
翔琳「あれは何だ?」
秀麗「お金持ちの屋敷には、大抵彩八仙をまつったお社があるの。あるのがあまりにも当たり前すぎて、逆にその存在を忘れてたわ」
翔琳「なるほど、そうであったか…」
秀麗「地下室の入り口は、きっとそこよ」
翔琳「しかし、見張りがおったぞ。どうされる」
秀麗「今夜は茶家の当主選定式。門や母屋の警備で手一杯のはず。見張りが手薄になるとしたら、今日しかないわ」
翔琳「え、あ、あいや…申し訳ないが、今夜はだめでござる」
秀麗「え?」
翔琳「今夜はすでに任務を受けておるのだ。しからば、ごめん!」
秀麗「ちょっと、翔琳君!」
消える翔琳。
秀麗「もう…こうなったら、私一人で行くしかないわね」



朔洵の部屋。一人で酒を飲んでいる。
その姿を見て。
秀麗「あなたねぇ、もうすぐ選定式でしょう? 何で準備もしないでお酒なんか飲んでるわけ?」
朔洵「ん…出る気ないから」
秀麗「ほんっとに、何もかもにやる気がない男ね」
朔洵「私は君と過ごせる最後の日ということのほうが、ずっと大切なんだよ」
秀麗「まったく!」
朔洵「ねえ、髪結ってくれないかな」
秀麗「私はあなたの侍女じゃありません。そういうのは他の人に頼んで」
朔洵「君以外は、いやだ」
朔洵は秀麗の手をとり。
朔洵「髪を結って、お茶を入れてくれる?」
秀麗「……いいわ。これで最後だし」

朔洵の髪を結う秀麗。
秀麗「なんだか静かね。もしかして飲みすぎ? 気分でも悪いんじゃない?」
朔洵「違うよ。私はお酒には強いんだ」
秀麗「そう言えば、あなたが酔っているところ見たことないわね」
朔洵「そうだろう?」
秀麗は髪を結い終えた。
秀麗「はいおしまい。選定式に出ないなら、今日はゆっくり寝てなさい。今白湯を入れてあげるから」
朔洵「甘露茶のほうがいいな」
秀麗「だめ」
朔洵「どうして」
秀麗「どうしても」
棚を見上げて。
秀麗「いつもと印象が違うわね。なんか閑散としてるような……て、茶葉が甘露茶しかないじゃないの!」
朔洵「君は私との結婚もあっさり突っぱねてしまったし、最後に少しくらいの甘い思いを味あわせてくれたって、バチは当たらないと思うんだ」

秀麗『そこまでして甘露茶を飲みたいのかこの男は!』
(秀麗すごい顔です。ぜひ映像でご確認ください)

秀麗「はい。ただのお湯」
朔洵「……私が、心配?」
秀麗「そうねえ。いつもより輪をかけておかしい気がするから、ちょっと心配ね」
朔洵「優しいな。じゃあ飲む」
白湯を飲む朔洵。
朔洵「ほら、飲んだよ。だから今度こそ、甘露茶を入れて欲しい」
秀麗「だーめ。あなた、お酒飲んでるでしょ? それもかなり。甘露茶だと、お酒と変なふうに混じって、具合悪くなるかもしれないのよ。今日は白湯だけにして、ゆっくり寝なさいよ」
秀麗の手をとって。
朔洵「具合が悪くなったってかまわない。だって君に入れてもらえるのは、今日が最後だからね」
秀麗「あのねぇ…」
朔洵「甘露茶を入れてくれないと、私は死んでしまうよ」
秀麗「子供みたいなこと言って…まったく、仕方ないわね」

秀麗「ね、約束は覚えてる?」
朔洵「もちろん、つぼみなら、ちゃんと返すよ。君も何かと忙しいだろうから、全部片付いたと思ったら、おいで」 秀麗「何なら今返してくれたってかまわないのよ? いいえ、むしろとっとと出しなさいよ」
朔洵「そんな夢のない…」
ふと、朔洵は呟く。
朔洵「夢? この私が…?」
秀麗「どうかした?」
朔洵「いや、なんでもないよ」
秀麗「そう」
秀麗が入れるのは、やっぱり白湯。



茶家本邸に、各地の太守が集まってくる。
目立たないところに、一つの馬車。御者には柴彰。
影月「本当に…大丈夫でしょうか」
燕青「なんで。茶家がくれた正式な招待状だぞ? 堂々と表門から入ってやろうぜ」
影月「ええ…」
馬車の外では、すでに静蘭と春姫が控えていた。
静蘭「選定式も何が起こるかわからん。そっちは任せたぞ」
燕青「ああ、お前こそ、春姫を頼んだぞ。茶家の連中は、春姫の顔を知ってるんだ。くれぐれも」
静蘭「くどい」
燕青をぴしゃりと黙らせて。
静蘭「幸い今夜は新月。忍び込むのにちょうどいい」
柴彰「そろそろ参りましょうか」
燕青「ああ」



塀を乗り越えて茶家に忍び込んだ、静蘭と春姫。
静蘭はふと、懐の剣に気づく。
静蘭「干將……」
干將が、身震いするかのように震えていた。



貴陽、王宮。
劉輝の部屋にあった莫邪も。
劉輝「莫邪……」

(劉輝の回想)
清苑「劉輝、お前は男だから、莫邪も少しは大人しいだろう。
その莫邪とこの干將は、縹家によって鍛えられた、陰と陽、二つで一つの双剣。
無理に引き離すと反発するといわれている。
しかし、女人の性である莫邪は、手にしたものが男ならば、まだ大人しくしてくれるらしい」
きょとんとしている劉輝。清苑は笑って。
清苑「お前にはまだ難しかったか」

劉輝「この莫邪が女人なら、干將は男。兄上だからこそ、暴れる干將を押さえ込めたのだ。この双剣の由来は……」



(茶家の庭に潜んでいる静蘭)
静蘭『…破魔。魔を打ち破るべく鍛えられた剣が、鳴くとは…』

静蘭「春姫様、この先我々の目的地は、別の方向となります。この剣は女性には優しい。きっとあなたをお守りくださるでしょう。お持ちください」
春姫は首を横に振り、剣を静蘭に優しく押し返す。
静蘭「私ならこの剣がなくとも…」

その時。
兵「そこにいるのは誰だ! 出て来い!」
「おいどうした!」「こっちだ!」「あそこか!」

剣を抜こうと構えた静蘭を、春姫が止める。
静蘭「春姫様…」
春姫はおもむろに何かを取り出して、静蘭の耳につめる。
静蘭「え、あ…何をなさるんです」
春姫は兵たちの前に進み出る。
兵「何者だ?」
兵「待て、この方は…」

静蘭の手が勝手に動いて、自分の耳をふさぐ。

春姫が何か叫ぶ。

次の瞬間、兵たちが次々に倒れこんだ。

静蘭は耳につめられた綿を取り。
春姫は静蘭をちらりと確認して、そして走り出した。
それを見送りながら。
静蘭「参ったな。お前を作った家の血を引く女性ってことを忘れていたよ。彼女といいお嬢様といい、女性陣のほうが遥かに強いとは…情けない」
などと言っている場合ではない。
静蘭「さて」
走り出す静蘭。行き先は一つ。

静蘭『私は私のなすべきことを…!』


こちらもひたすら走っている春姫。
祖母の言葉が蘇る。

英姫『良いか春姫、その力は、ただ一人のために使うと約束しておくれ。いつか出会う、たった一人の特別な他人のためにのみ』



監禁されている英姫の部屋。
英姫「すべてをつくして…愛するばか者を救いに行け! かつて私が、そうしたように」


一方、怪しい社に向かっている秀麗。
秀麗「あった…!」
兵たちがいる。秀麗は急いで木の陰に隠れる。
秀麗「見張り?……こうなったら……」



社にたどり着いた春姫。そこには、兵たちとなにやらもめている秀麗の姿が。
秀麗「ネタは上がってんのよ。さっさとそこをどきなさい!」
兵「そういうわけにはいかん。我々は誰も通すなと仲障様に命じられている」
秀麗「その中には誰かいるの?」
兵「おらん! この中には誰もおらんぞ!」
秀麗「誰もいないんだったらいいじゃない。通しなさいよ!」
兵「だ、だめだ! ご神罰が下るぞ!」
秀麗「バカじゃないの? 神罰下すのは神様で、仙人様じゃありません」
兵「なんだとぉ?」
兵「ええい面倒だ、捕らえてしまえ!」
そこへ、春姫が割り込む。
兵「なんだ?」
秀麗「なに?」
春姫「紅秀麗様、よろしいと申し上げるまで、お耳を両手でお塞ぎになってくださいませ」
すると、秀麗の手が勝手に動いて、自分の耳を塞ぐ。
秀麗「え、あれ、なんで勝手に、え?」

春姫「そこな雑兵ども! 全員私が良いと命じるまで、気絶なさい!」

次の瞬間、兵たちが次々と倒れる。

秀麗「え? なに? 一体何が起こったの?」
春姫「もう、よろしいですよ」
春姫は秀麗に歩み寄り。
春姫「お初にお目もじつかまつります。紅秀麗様。茶春姫と申します」
秀麗「春姫さん? あなた確か、口が利けないはずじゃ…」
春姫「いえ、しゃべれないのではなく、しゃべらなかったのです」
秀麗「えっ」
春姫「私が口にする言葉には、人を意のままに操る力が秘められているのです。この力は非常に危険です。ですから、それを隠すため、言葉を封じていたのです」
秀麗「まさか、そんなことが…」
その時、社のほうから怪しげな足音が。
秀麗「なんだか分からないけど、ろくなもんじゃないわよ、絶対。来て」
秀麗は春姫を連れて隠れる。

中からよろよろと出てきたのは……
秀麗「あの人…」
春姫「仲障大伯父様…」

仲障「まさか…あやつごときに…死ぬものか…ここまできて…ようやく全てがこの手に入る…」
その仲障に向かって、歩いてくる人物が。
柴彰「仲障殿、お約束の物を届けに参りました。茶家当主であることを示す指輪でございます」

秀麗「!!」

仲障は箱を受け取り、急いで開ける。
だが、何も入っていない。

仲障「どういうことだ」
柴彰「お客様からのどのようなご要望にもお応えするのが商人の矜持。しかし、あなたには差し上げられない。それが、代々茶家の横暴に敢然と立ち向かい、どれほどの粛清を受けようと決して屈さなかった誇り高き官吏の一族、柴家の人間としての、私の答えです」
悔しそうに箱を投げ捨てる仲障。
その箱は、血に染まっていて。
柴彰「茶州の各太守も、すでに全員、集めた茶家弾劾の証拠を持ち、琥璉入りを果たしました」
仲障「なに?」
柴彰「浪燕青殿と鄭悠舜殿は、とっくに手を打っておられた。あなたが先導した琥璉の暴動も、起こる前にその芽を摘んでおります。じきに琥璉の正規武官と我が全商連の精鋭が、お集まりの茶家の皆さんに、縄をかけに乗り込んでくるでしょう」
高笑いする仲障。
仲障「あの連中に縄をかけるだと? ははは、死体に縄をかけて引きずっていくがよいわ!」

秀麗「何ですって!」

思わず声を上げた秀麗。
仲障「そろそろ選定式の時刻よのう…血が薄いの傍流のとうるさいあやつらを、邪魔に思っていたのはわしとて同じよ。当主就任を機に一掃してやるつもりだったわ! 我が兄茶鴛洵がしたようにな!」

柴彰「まさか!」
秀麗・春姫「!」

秀麗と春姫は柴彰の元へ駆け寄る。
柴彰「行きましょう! 杜州牧と浪州尹に知らせなくては!」
秀麗「待って!」
秀麗は茶仲障の元へ駆け寄り、傷の具合を見た。
その傷に布をあてて。
秀麗「茶仲障、罪状をつまびらかにした後、追って沙汰をいたします。茶本家の者としての誇りがあるのなら、ここで待ちなさい。その最後の務めを果たし、縛につくのです」
苦しそうな仲障に。
秀麗「医師をよこします。もう動いてはだめ」
そう言い聞かせて柴彰の元へ。
柴彰「医師は手配しましょう。しかし、もう…」
秀麗「そうかもしれない。でも…」
春姫「ありがとうございました」
柴彰「え」
春姫「大伯父仲障に、最後までお心遣いを下さった、紅州牧のご厚情に、感謝いたします」
柴彰「春姫様…」
柴彰は秀麗に向き直り。
柴彰「紅州牧、あなたはご立派に、州牧としてのお役目を果たされました」
少し嬉しそうな秀麗。
秀麗「選定式には、柴彰さんが行っていただけますか? 私は春姫さんと行きます」
柴彰「分かりました。では、これをどうぞ」
柴彰は一つの包みを秀麗に差し出す。
柴彰「杜州牧から預かってきました。この州牧印をお返しした時から、あなたは名実共に、茶州州牧に戻られます」
秀麗「届けてくださって、ありがとうございます。私、あなたを疑ってしまったの…ごめんなさい」
柴彰「上出来です、誰も彼もを簡単に信じられては困りますからね。特に私みたいな男は、要注意ですよ。それでは幸運を」
走り去る柴彰。
秀麗「後で、必ず追いかけますから」

秀麗「私たちも行きましょう。覚悟はいい?」
春姫「もとより、そのつもりで参りました」

二人は社に入っていく。
秀麗は社の入り口で、光るものを見つける。
春姫「どうされました?」
秀麗「…何かしら」



うずくまっている仲障。
仲障「鴛洵兄上…このわしに、あと少しの運と才さえあれば…」

「愚かな」

後ろから、別の声がする。霄太師(青年)だ。
霄太師「鴛洵が運と才だけで、あそこまではいあがったと思うのか」
仲障「貴様は誰だ…? わしと鴛洵を知っておるのか…? もはや誰であろうとかまわぬ」
霄太師「運も才も持っていたのなら、鴛洵はあそこまで苦労しなかっただろう。
茨の上を、焼けた鉄の上を、凍えた雪の上を、そうと知って自ら裸足で歩いていこうという男だ。
あそこまで馬鹿な男を、私は知らない。
あいつが何かを多く持っていたとしたら、それは、優しい心と、たゆまぬ努力だけだ。
傷だらけになっても、何一つ泣き言を言わぬ。
我が身を振り返ることなく、ただ自分の信じた道を進んでゆく…」
仲障「兄上は…」
霄太師「鴛洵にはもうお前のために割く時間は残っていない。だから私が来たんだ。お前の最期を看取ってくれとな」
仲障「……!」
霄太師「お前はあの時、全てを見ていただろう…英姫がなんと言ったか、本当に思い出せないのか?」

(仲障の回想)
あの日、一族が殺された日。
血の匂いに戸惑っていた自分のそばを通り抜けた義姉は、鴛洵に駆け寄って。
英姫「そなたのせいではない! これは何一つそなたのせいではない! お前が一人で全てを背負う必要がどこにあるのじゃ? 鴛洵!」

霄太師「お前は最初から間違えていたんだよ。何も分かろうとしないお前に、鴛洵を超えることなど出来るわけがない。あの馬鹿は、全てを守ろうとしていたのに…」
仲障「わしは……わしは……!」

幻の向こうで、去っていく兄の後姿。

仲障「鴛洵……兄…上…!」

絶命した仲障を見下ろしながら。

霄太師「覆水盆に返らず、だよ。全てはもう遅い。お前が最後まで余計なことをしたせいで、鴛洵は…」



ナレ(邵可):
茶家当主選定式の開始は近づいていた。
各々が、それぞれの目的地を目指して走る中、秀麗と春姫も暗い道を進んでいた。
茶克洵の姿を求めて。









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