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彩雲国物語 第1シーズン 第二十八話 案ずるより産むが易し

アニメ「彩雲国物語」を文章で見たい!という方のために。
(管理人のツッコミつき)


『』=モノローグ
ナレ:=ナレーション

地上波再放送(金曜深夜)にあわせてレビューしています
キャストについては、公式HPを参照のこと

★第28話は由准初登場!のお話です★





ナレ(邵可):
幽閉されていた金華太守、柴進を解放し、町から殺刃賊を一掃して数日が経った。
事件の事後処理に忙殺されていた秀麗たちの前に、琥璉からやって来たという一人の官吏が現れた。



穏やかそうな官吏が、秀麗と影月に挨拶する。
秀麗「琥璉から来た、由准さん?」
由准「は」
燕青「うわぁ、お前が来ちゃったのかよ。向こうは大丈夫なのか?」
由准「そんなことより、今は一刻も早く、金華の町を正常な状態に戻さなくては」
燕青「あ、あーはいはい、そうだなぁ」
秀麗「ね、名前だけじゃなくて、ちゃんとした紹介くらいしてよ」
燕青「そんなもんはあとあと。仕事は山ほどあるぞぉ」
秀麗「そんなもんって…」

積まれた書簡を前にため息を落とす秀麗。
影月「あの、由官吏、ここなんですが…」
影月が一つの巻物を由准に渡す。
由准「ああこれは、昨年の租税資料と照らし合わせて確認する必要がありますから、私がやっておきましょう。それよりも、こちらの決済をお願いします」
由准から巻物を受け取る影月。
影月「あ、はい」
燕青「こっちの書簡にも、印を押してくれ」
影月「はい」
燕青「あとこれと、あれとこれらっと、こっちもな」
影月の手に次々と積まれる書簡。
秀麗「またたくさんもらってきたわね」
影月「はい。でも僕たちがこうやって仕事をすることで、金華の人たちが喜んでくれるなら」
秀麗「そうね。それにしても…あの二人がいてくれなかったら、どうなってたことか…」
影月「州牧に任命されたといっても、僕たちはまるっきりの新米。右も左も分からないのが現実ですからね」
秀麗「私たちは、彼らが目を通してくれた書簡に署名して、印を押してるだけ」
影月「それも、由官吏の的確にして迅速な補佐があってこそ」
そんな二人の前に、またもや書簡が積まれる。
燕青「ほーらぼけっとしてねぇで、これにも印、よろしく」
ため息をつく二人。
秀麗「まったく、なんでこんなにあるのよ!」
筆を振り上げた拍子に、墨が由准の顔に…!
由准「うわ」
秀麗「あああああ!由官吏! すみません、すみません」
由准「ああいえいえ、大丈夫ですよ。書簡にはかかりませんでしたから」
秀麗から布を受け取ってそれを拭う由准。
秀麗「もう、自分が情けなくなってきたわ」
影月「僕もです」
由准「まだ仕方ありませんよ」
燕青「そうそう。それに二人とも、俺ん時よりかなり出来いいぞ」
由准「そんなもの全然自慢になりません。それとも、書簡を読みもせずに、無責任に押印して、暇さえあれば暴れていたことの言い訳じゃないでしょうね」
燕青「仕方ねぇだろ。あの頃は茶家の刺客がしつこくて…つか、10年も前のこと良く覚えてるな」
由准「ええ、よーく覚えてますとも。いきなり肥溜めに突き飛ばした恩は、100年たっても忘れません」
(この回想シーンはぜひDVDなどでご確認ください)
燕青「だってあれは、毒矢をかわすためで…それに、あの事件のお陰で、ちょっととっつきにくいとか言われてたお前にも、みんな優しく接するようになっただろ?」
由准「わけのわからない言い訳はやめてください。そんなことより、昨年の租税資料、北側の書架、右から二つ目、上から五段目」
燕青「はいっ」
書架へ向かう燕青を見ながら。
影月「お二人は本当に仲がいいんですね」
秀麗「そうそう、燕青が何でもしてあげるから、由官吏が椅子から立ち上がるところを見てないくらいよ」
燕青「そ、そか?」
由准「燕青はもともと頭の中まで筋肉で出来ているような人ですから、ちょろちょろしていないと落ち着かないのでしょう」
燕青「そうそう、そうなんだよ…て、言うにことかいてなんつーことを!」



そんな楽しそうな仕事風景を、庭から見ている克洵。
ふと、別の視線にも気づく。
静蘭だ。

木陰に座って話す二人。
静蘭「たった一人で、茶草洵を埋葬したそうですね」
克洵「ええ、茶家の人間として、せめてものことをしようと…」
静蘭「たいしたものです」
克洵「いえ、あなたたちこそすごいです。金華から殺刃賊を追い出し、茶家の手から解放するなんて…」
静蘭「あれは、わたしたちだけでやったことでは…」
克洵「それでもすごいです。特に秀麗さん…」
静蘭は立ち上がった。
静蘭「そろそろ仕事に戻らなくては」
去っていく静蘭を身ながら。
克洵「それに引き換え、僕は…」
ふと、目の前に咲いている花を見て、思い出す。
あの時の姫は、今…



その姫は、見晴らしのいい崖の上に立って。

英姫『よいか春姫。星を読み、時をはかりや。そしてその時が来たら…』

その時。
翔琳「春姫殿!」
崖を軽快に飛び降りてきた少年。
翔琳「こんなところまで降りていらしたか。春姫殿もなかなか足腰が強くなられたな」
ふと、春姫の手の傷に気づく。
翔琳「木の葉で手を切られたか…うちに戻ったら、薬を調合いたそう。ここへ来た時は、お姫様のような手だったのに…」
言いかけた翔琳の口に指を当てる春姫。
翔琳「薬草で、春姫殿の声も出るようになったら良いのにな」



翔琳の小屋。そこから出てきたのは弟の曜春。
曜春「あ、お頭、春姫殿。ちょうどお昼が出来たところですよ」
春姫が手にした籠の中には、山菜が一杯。
曜春「たくさん取れましたね。あれ、それは毒キノコ…」
その時、曜春の頭にげんこつが。
翔琳「ばかもの! 曜春! 女子に恥をかかせるつもりか! そういうのは後でこっそり伝えるものだ」
曜春「精進が足りませんでした。ごめんなさい、春姫殿」
いいのです、と首を振る春姫。
翔琳「よいか、曜春。浪燕青に託されたこの春姫殿を、我らは無事守り通さねばならない。並大抵の決意では、この大役は果たせないのだぞ」
曜春「はいっ」
翔琳「しかし、この大役を果たしてこそ、我らは立派な二代目義賊、茶州の禿鷹へと成長できるのだ」
曜春「はい、お頭!」
その時、少し強い風が彼らを揺らす。

英姫『その時が来たら、そなたがなすべきことをなしや』

祖母の声が、聞こえたような気がした。



ただいま休憩中の秀麗たち。
秀麗「んーおいしい! 香鈴、腕を上げたわね」
香鈴「そんな、まだまだ秀麗様にはかないません」
燕青「なぁなぁ、俺にもお饅頭二つ、つけてくれよぉ。何で姫さんだけなの?」
香鈴「愛情の差、でございますわ」
燕青「俺、こんなにはっきり愛情の差を形で示されたのは初めてだよ」
秀麗「拗ねないの。由官吏だって影月君だって、一つじゃないの」
燕青「だぁって、俺のが一番小さいぞ!」
秀麗「みんな同じ大きさよ。もう、半分あげるから」
燕青「やったぁ!」
ため息をつく由准。饅頭を半分に割る秀麗。
ふと、影月が食べている饅頭に、何か入っているのに気づく。

秀麗『栗?』

でも自分が半分に割った饅頭には、入っていない。

秀麗『なるほど。愛情の差ね』

影月もそれに気づく。その意味を察して…。
香鈴「お茶のお代わりをお持ちします」
そそくさとその場を去る香鈴。
秀麗「それよりも燕青、琥璉で何が起きてるのか、そろそろ聞いてもいい?」
半分の饅頭を手渡しながら。
秀麗「だって、茶州に入るまであんなに急かしてたのに、ここに来てから何も言わないんだもの」
影月「ここから琥璉まではゆっくり行っても5日ほどとはいえ、赴任の期限まではもう20日ちょっとですし」
秀麗「それを過ぎると、問答無用で州牧の地位を剥奪されるのよ」
燕青「分かってるって。でも、あとちょっと待て。そろそろ柴彰経由で、最新の琥璉情報が届くと思うからさ」
秀麗「そう…ねえ燕青、鄭補佐は大丈夫なの?」
燕青「あ、ああ…悠舜か。ま、大丈夫だって」
秀麗「何それ。心配じゃないの?」
影月「そうですよ。今までは州牧代理として最高決定権を持ってらっしゃいましたから無事でしたが、僕たちの赴任で、権限がこちらに移ったことを思えば、命の危険もありえるんですよ」
燕青「今の台詞、悠舜が聞いたら泣いて喜ぶな」
由准「ええきっと」
燕青「あいつなら、大丈夫だ」
秀麗「絶対なの?」
燕青「絶対。悠舜をどうこうするのは、さすがの茶朔洵でも不可能」
頷く由准。
燕青「州牧の権限を最高の形でお前らに譲ろうって、俺と二人で決めたんだ。悠舜を信頼してやってくれ」
影月「なんだか僕たちって、本当に幸せですね」
由准「ええ、あなた方の最初の赴任地が茶州というのは、主上のご英断といえますね」
秀麗・影月「は?」
由准「浪燕青という前例がありますから、年齢や性別など少々変わった州牧が赴任してきても、問題になりません」
燕青「本人前にして言うかそういうこと。でもま、事実だなぁ。もろに中央から見捨てられた州、って感じだったな」
由准「みな心の底で不安だったのです。そこにようやく正式な州牧が、それも主上から花を授けられたお人が来ると聞いた時の、茶州府の皆の喜びようといったら」
影月「なんでそこまで喜んでくださったんです?」
由准「花は主上の絶対の信頼の証です。授けられた官吏の地方赴任など、滅多にありません。それをあえて派遣することで、もはやこの州を捨て置かぬという意思表示をなさったのです。花の授与はあなた方を守ると同時に、茶州の嘆きもすくい上げる、見事な一手と言えましょう」
燕青「それと、もう一個あるぜ。茶州に来て良かった理由」
秀麗「なに?」
燕青「全商連の茶州支部はさ、柴彰の姉ちゃんが仕切ってんだけど、その能力といったら男顔負け、ていうか負けっぱなし」
由准「ですから、女性の州牧に対する偏見は、他の州より少ないと思います。初の女性官吏の赴任地としては、最適だと思いますよ」

秀麗『まったく、どこまで考えてるんだかあの人は…』

その時、部屋の扉をノックする音が。
「失礼します。柴彰殿から、面会の申し入れが」
燕青「お。来た来た。入れてやって」

燕青「で? どんな感じだった?」
柴彰「鄭補佐の命により、4日前を持ちまして、州都琥璉、全面封鎖令が発令されましたとのことです」
秀麗「全面封鎖!?」
燕青「そりゃまた強引な手で来たなぁ」
柴彰「新州牧二人はすでに琥璉に入都を果たしており、着任式までの間、あらゆる危険を避けるため、というのが封鎖の理由だそうで」
秀麗「あきれた」
柴彰「さらに新州牧は、現在茶家の庇護の下に置かれているとの噂も流れており、早くも茶家に取り込まれたかと、新州牧に対する評価は下落の一途です」
秀麗「まったく、茶家もとんだ噂をばらまいてくれちゃったものね」
影月「どうしましょう」
燕青はひと笑いして。
燕青「じゃ、明朝出立ということで」
秀麗「ええ!?」
燕青「つーわけで、今日は早く寝ろよ」



旅支度をしている秀麗。その部屋の扉をノックする音。
秀麗「はい」
入ってきたのは燕青。
秀麗「なに? 今荷造りで忙しいんだから、手短にね。明日、朝早いんでしょ?」
燕青「な、最近、静蘭とちゃんと話をしてる?」
秀麗「!……ううん、お互い仕事が忙しくて」
燕青「ちょっと、腹据えて話してやってくんねぇかな」
秀麗「え?」



台所。蒸しあがった饅頭。
(おいしそうです)
秀麗「燕青って、大雑把のように見えてほんと鋭いんだから…」
などと言っていると、そこへ。
静蘭「お嬢様。ここにいらしたんですか」
秀麗「え? ええ」
なんとなく気まずい沈黙。
秀麗「静蘭、お茶にしない?」

静蘭「もうほとんど寝る時間はありませんよ」
秀麗「今寝たら、起きられる自信がないわ」
静蘭「なんだって、こんな時間にお饅頭を作り始めたんです?」
秀麗「んーとね…」
静蘭「何かお悩みですか?」
その言葉に、秀麗は微笑んで。
秀麗「だから私、この世で二番目に静蘭が好きよ」
静蘭「!!(茶を噴出す)」
咳き込んでいる静蘭に。
秀麗「大丈夫?」
静蘭「ど、どうしたんですいきなり?」
秀麗「私も自分で言ってびっくりしたわ。なんかつい、ぽろりと我ながら。この世で二番目に桃饅が好きよ、くらい、すごく自然に言っちゃったわねぇ。おほほほ、おほほ」
秀麗の不自然な笑い。

静蘭『この世で二番目?それは喜ぶべきなのか、嘆くべきなのか…? お嬢様、おほほじゃなくて、何かちょっと解説を…』



夜、庭で。
克洵「僕は、どうすればいいんでしょう」
燕青「何が」
克洵「幼い頃から茶家の一員として、ずっと見てきたんです。一族がどれだけ、茶州の民を苦しめてきたか…その上今度は、朔洵兄上まで…」
燕青「…で?」
克洵「……」
燕青「どうしたらいいかなんて、俺に聞かなくたって分かってるだろ? 自分を信じろ。思うとおりにやってみればいいんだよ」
克洵「燕青さん…」
立ち上がって。
克洵「ありがとうございます」
去っていく克洵。
燕青「さてと、あっちはどうなってるかなぁ」



甘露茶を飲みながら。
秀麗「こうやって、静蘭とゆっくりするのも久しぶりね」
静蘭「え、あ、そそ、うですね」
秀麗「なんか、私に聞きたいこととかある?」
静蘭「は? ど、どういう…」
秀麗「あのバカ若様のことで、随分静蘭に心配かけちゃったみたいだし。出発前に、気になることは聞いていいわよ」

静蘭『支えるのは私の役目だったはずなのに…まったく情けない』

静蘭「お嬢様」

秀麗『あ、いつもの静蘭』

秀麗「ん?」
静蘭「先ほどの一番は、どなたかお聞きしても?」
秀麗「ああ父様よ。あんなだめ父でも、ずっと一番なのよね。でも母様は別格なの」
静蘭「お嬢様は、茶朔洵がお好きですか?」
秀麗は思わず噴出す。

秀麗『静蘭にしては、珍しく直球で来たわね』

秀麗「こればっかりは分からないって答えるしか…」
静蘭「おや?」
秀麗「静蘭も知ってるでしょう? 私こっち方面とんと疎いんだもの。ほら、うちの母様って、父様とすごく仲が良かったじゃない?」
(恋愛には疎い、ということですね)
静蘭「ええ」
秀麗「子供心にも覚えてるわ。いつもすごく賑やかで楽しかったわね」
静蘭「それは、奥様が薬湯を作るといっては、爆発させていたからですよ」

(回想)
咳をしている小さな秀麗のそばで。
薔薇姫「待っておれ。すぐ薬が出来上がるからの」
(ぐつぐつと煮えている怪しい液体…)
静蘭少年が薪を割っていると、台所から爆発が。
静蘭が駆けつけると、秀麗は大泣き。
薔薇姫「おお驚かしたの、すまんすまん。大丈夫じゃ」
泣きじゃくる秀麗を抱き上げて。
静蘭「何やってるんです。この子に怪我させたらどうするんですか!」
薔薇姫「そなた、口を…」

秀麗「確か、静蘭がうちに来て、初めてしゃべった瞬間だったのよね」
静蘭「あの時は大やけどの危機だったんですよ」
秀麗「でも、母様の薬湯を飲んだ後は、しばらくは普通の子供みたいに元気になれた。
二胡を教わったのも、柿拾いをしたのも、礼儀作法を叩き込まれたのも、一緒にお饅頭を作ったのも、
私が次に熱を出すまでのちょっとの間、時を惜しむみたいにたくさんのことをしたわね。
でも、時が尽きたのは私じゃなくて母様のほうだった。
私が、恋とか愛とか、そういうものに目を向けなかったのは、母様のことがあるのかも。
安心して誰かを好きになるのが、怖かったのかもしれない。
自分に自信ないし。
だから特別に大切な人をつくらないようにしていたのかもしれないわ。
そうやって目をそらしてきたのに、あの人、めちゃめちゃ強引で、
かなり変だけど、顔はいいから、私ったら、うっかりどきどきしちゃって」
(秀麗は面食いか!?)
静蘭はくすっと笑って。
静蘭「なかなか客観的な分析ですね」
秀麗「何で笑うのよ。静蘭は美形だから分からないかもしれないけど、普通の人に取っちゃ重要なのよ、顔のよしあしって」
静蘭「嬉しいこと言ってくださいますね」
秀麗「あのお騒がせ若様、そういうところを見事に突いてきたのよ。いや、もしかして私って単に、押しに弱いだけなのかしら。ごめん、なんか全然答えになってないかも」
静蘭「あ、いいえ。きちんと考えてくださって、ありがとうございます」
秀麗「そ、そぉ?」
眠そうにあくびする秀麗。
秀麗「まずいわ。本格的に眠くなってきちゃった」
そんな秀麗の頭に手を置いて。
静蘭「ちゃんと起こして差し上げます。少しでも眠ってください」
秀麗「でも静蘭は?」
静蘭「体力が違いますから。お気になさらず」
秀麗「じゃあ、ごめん、ちょっと寝るわね」
静蘭「はい」
秀麗「私、つぼみを取り返さなきゃならないけど…」
静蘭「はい?」
眠そうな秀麗。
秀麗「あれは私のだから、自分で頑張るね…静蘭、あんまり私を甘やかしちゃ…だめよ……」
眠ってしまった秀麗。
静蘭「……おい」
燕青「あら? 気づいてたぁ?」
扉からひょっこり現れた燕青。
燕青「いや、気になって…お前ときたら悩んでばっかでさー、少し話すれば、全部解決するってのに。案ずるより産むが易しって言うだろ?」
そういいつつ、饅頭を一口。
燕青「んー、久々の姫さんの饅頭♪ 姫さん、お前に甘えられてることとか、全然気がついてねぇよな。お前みたいな奴は、身近に3人くらい大人の奴がいねぇと、息の仕方も忘れちまうからな。姫さん、邵可さん、俺でちょうど3人」
静蘭「最後のはそこらの米つきバッタと取り替えろ。お前なんか用なしだ」
燕青「冬はどうすんだよ。俺のほうが年中無休だぞ? お前の甘え方って、ほんと分かりにくいなぁ。そういや、吏部尚書は今回は動かないみたいだ。ほんと姫さん大事なんだな」
静蘭「となると朔洵は…」
燕青「紅家当主が動かない以上、茶家当主の肩書きなんぞ必要としないだろうな…結局、草ちゃんはやられ損か」
静蘭「弟の手で埋葬されただけましだろう」
燕青「克は今日発つってさ。でも、相手は仲障と朔だからな」
静蘭「知った上で歩き出したのだろう? あれには意外に見込みがある」
燕青「ま、そうだけどさ…」
静蘭は秀麗を抱き上げて。
静蘭「仮眠を取るから、時間になったら起こせよ」
燕青「はい!? 俺は?」
静蘭「体力有り余ってるくせに、ずっと机仕事してんだからそんくらいしろ」
燕青「うわぁ、それって俺のせいじゃねーじゃんよぉ」



朝。
兄の墓の前に立って。
克洵「では兄上、行ってきます」
その時。
影月「行かれるんですね……決めたんですね」
克洵「うん…ひとつ、頼んでいいかな」
影月「なんでしょう」
克洵「春姫を頼む。燕青さんにお願いしていれば、心配ないのは知っているけれど」
影月「分かりました。お約束します」
克洵「もし僕が死んだら…」
影月「その先は聞きません。春姫さんへの伝言もお断りします。簡単に死ぬことを口にしないで下さい」
克洵「…僕は君に励まされてばかりだね。頑張るよ。簡単には死なない。お祖父様と朔洵兄上を、止めに行ってくるよ」

克洵は琥璉へと出発した。

(原作:漆黒の月の宴)








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