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彩雲国物語 第2シーズン 第二十九話 遠ざかる程想いが募る

アニメ「彩雲国物語」を文章で見たい!という方のために。
(管理人のツッコミつき)


『』=モノローグ
ナレ:=ナレーション

キャストについては、公式HPを参照のこと

★第29話は狙われた秀麗&隼初登場のお話です★






「そう兄様をいじめないでやってくれる?」
楸瑛に剣を向けていた静蘭に、そう告げた少女。
振り返る楸瑛。
楸瑛「十三姫、か…?」

(タイトル)

十三姫「あなた、兄様に言いたい事言ったみたいだし、もう出てってちょうだい。こっちはこっちで、積もる話が盛りだくさんなのよ」
しっしっ、と手を振る十三姫。
静蘭「確かに、言いたいことは言わせていただきました。では失礼します」
出て行く静蘭を見送って。
十三姫「あの公子様に言ってないみたいね。私が王宮に入るか、シ静蘭の嫁になるか、どっちかでいいって言われてること」
※シ静蘭の「シ」は「くさかんむり+此」ですが、機種依存文字のためカタカナ表記しています。
楸瑛「後者は考えていない」
十三姫「あら、一応理由を聞きましょうか」
楸瑛「君が静蘭の嫁になって幸せになれるとは全く思えない。それに、彼を私の弟にはしたくない。龍蓮だけでも笑える人生なのに、静蘭が義弟(おとうと)になったらどんなことになるか」
十三姫「おしゃべりになったわね。少しは元気出たかしら」
楸瑛「出たよ。ありがとう、十三姫。まさか君が来るとは思わなかった」
十三姫「でも、考えてみれば、王の嫁としてぴったりだった?」
楸瑛「ああ。相応しすぎるほど相応しいよ。きっと君なら、誰よりも主上の心を理解することができるだろう。兄上たちも容赦ないな」
十三姫「仕方のない兄様ね。考えが甘いのよ。遅かれ早かれ、妹の誰かが来ることは分かってたでしょ? なのにうっかり花を受け取って。王様の恋の応援しちゃって。楸瑛兄様は藍家の直系なんだから、絶対の忠誠なんて無理に決まってるもの」
楸瑛「(苦笑)」
十三姫「王様には、かわいそうだと思うわ。でも、このままずるずると行くほうがもっとかわいそうだと思う。楸瑛兄様に、藍家が捨てられる?」
楸瑛「いいや。私から藍の名を取ったら、何も残らない」
十三姫「ほんと、仕方のない兄様ね。でも知ってるわ。それでも最後は選ぶのよね。藍家の男だもの。時間はもう少しあるわ」
(この部分だけだと、すでに十三姫は楸瑛がどちらを選ぶか知っているようにも聞こえます)
楸瑛「!」
十三姫「ギリギリまで、時間と私を使って悩んでいいわ。私、兄様がそんなに馬鹿だとは思ってないの。元公子様は思ってるみたいだけど」
楸瑛「静蘭は、昔からそうだったよ」
十三姫「兄様、悩まなくていい簡単な方法があるのよ。私を殺せばいいの」
楸瑛「!」
十三姫「そうすれば、この話はなくなるわ」
楸瑛「…見くびるな。そんなことは絶対しない」
十三姫「でしょうね。だからそんなに悩むのよね。それじゃ、私に殺し屋を送り込んできたのは、兄様じゃないのね」
楸瑛「違う」
十三姫「……」
楸瑛「殺し屋の件だが、こっちでも動きがある。君をしばらく、後宮の離れでかくまうことになっている。孟兵部侍郎がいろいろ手を回してくれた」
十三姫「了解。紅家のお姫様も、来るのよね」
楸瑛「そうなると思うよ。だからなおさら、君が一緒にいたほうがいい。多分、秀麗殿も危ない」



その秀麗は、仕事で獄舎に来ていた。
獄吏「ようこそいらせられました」
秀麗「今日は牢城内の衛生環境と、設備を調べさせていただきます。あと無罪だと判明した死刑囚を、今日こそ引っ張り出し…いいえ、釈放します」
蘇芳「出てくれるかなー。何度来ても牢から出てくんねーじゃん」

中に入っていく秀麗と蘇芳。
獄吏「いやあ、紅御史が担当になられてから、職場環境も牢内の衛生環境も改善されて、本当に感謝しております。ちゃんと定期的に牢の見回りに来てくださる官吏は、陸御史以来です」
秀麗「陸御史……」
秀麗、思わず顔が引きつる。
獄吏「陸御史もお若いですが素晴らしい官吏でした。今もご活躍ですか?」
秀麗「…ええ、彼は中央でも目覚しい手柄を立てています」
獄吏「やっぱり。そうでしょうなぁ」
あの高飛車野郎…という表情の秀麗に。
隼「こんちくちょうって顔してるぜ?お嬢ちゃん。そういう顔も、結構可愛いぜ」
秀麗は一人の囚人に歩み寄り。
秀麗「隼さん、今日こそ出てもらいますよ。いつまでも牢に居座って、タダ飯食べるのはやめてください。あなたはもう、無罪が確定しているんですよ」
隼「あんたのお陰で、この牢もだいぶ居心地が良くなったから、出る気がうせた」
秀麗「ふざけないでください。ここはタダで寝泊りできる宿屋じゃないんです」
隼「もっと優しくして欲しいなぁ」
秀麗「働けるのに働かないで、牢に居座ってタダ飯食べてる人には優しくしません」
隼「(拗ねたように)優しくしてくれないと出ない」
秀麗は頑張る。
秀麗「外の世界はいいですよ。季節は初夏。薄着の女の子と素敵な出会いがあるかも」
(原作ではもっといろいろ言ってたハズ)
隼「他の女じゃなくて、あんたが会いに来てくれるからずっと居座ってたのに、切ないなぁ」
秀麗「はいはいはい。私も格子越しじゃないあなたとお会いしたいわ。うふふふふ、おほほほ」
隼「あはははは」
蘇芳「……やっぱり野郎しかいない場所だと、どんな花でもきれいに見えるもんなんだな」
秀麗「こらタンタン」
隼「あんまり正直にダダ漏れしてると、本気で好きになった女に信用されないぜ?」
秀麗「全然慰めになってないことを、真顔で言わないでください」
隼はじっと秀麗を見つめる。
秀麗「…なんですか?」
隼「あんたに会うのが楽しみだったってのは本当なんだぜ? 惚れた女に似てるからな」
秀麗「…楽しみだった、てことは」
隼は牢を出てきた。
隼「牢を出るよ。あんたに怒られるのも悪くないが、嫌われたくはないからな」
秀麗「どういう心境の変化?」
隼「別に。きまぐれさ」
前髪をかきあげた隼の額には、死刑囚につけられる焼印。
秀麗は頭を下げた。
秀麗「今回の冤罪の件、官吏として、本当に申し訳なく思います」
隼「何で謝る。あんたがここに放り込んだわけじゃないだろう」
秀麗「隼さん、あなたも無実なら無実と、そう主張してください。死刑にされかかってまで何も言わないなんて、全然格好良くもなんともないです」
隼「(ボソッと)ほんと、似てるぜ」
秀麗「え?」
隼「いや。牢を出してくれた礼と言っちゃ何だが」
隼は指で秀麗を呼び寄せ。
秀麗「え、何」
隼「(秀麗の耳元で)牢屋で死んだ幽霊に注意することだ」
秀麗「牢屋で死んだ幽霊…」

労城を出て。
蘇芳「牢で死んだ幽霊って、結構有名らしいな。別の州から赴任してきた官吏が、噂してるのを聞いたことがある」
秀麗「幽霊を見たとしても、何で牢屋で死んだ人なんだって判るのかしら」
秀麗はふと立ち止まり。
秀麗「ああ!」
蘇芳「なに? 何かひらめいた?」
秀麗「ひらめいた!」
と、振り上げた拳が誰かの顔に激突!
秀麗「あ、ごめんなさい……あ」
顔を押さえていた男が持っていたのは、剣!
秀麗・蘇芳「え!?」
男「くそぉ!」
剣を振り上げる男。秀麗と蘇芳は急いで逃げ出す。
武器を持った男たちがぞろぞろと現れる。
蘇芳「(走りながら)なんだよあいつら!」
秀麗「知らないわよ!」
蘇芳「どう考えても、あんたを狙ってるだろうが!」
秀麗「知らないったら知らないのよ!」
秀麗は何かを思い出し、いきなり立ち止まって後ろへ何かを投げた。
秀麗「えい!」
それはいきなり爆発し、もうもうと煙を発する。
蘇芳「なんだなんだぁ?」
秀麗「かんしゃく玉よ。凛さん特製。それはいいから走って!」
(原作では蘇芳が思い切り情けない姿をさらしています)



御史台に帰ってきた秀麗と蘇芳。
秀麗「何なのよ、一体」
蘇芳「俺、初めてだよ、命狙われたの」
秀麗「全く…あ」
部屋の扉を開けると、そこに立っていたのは。
秀麗「清雅……今はあんたの顔は見たくないわ。お願いだからどっか行って」
蘇芳はさりげなくその場を外す。
清雅「ご挨拶だな。しかしまたズタボロで帰ってきたな。何かあったか」
秀麗「…何の用なのよ」
清雅「十三姫が到着した」
秀麗「!」
清雅「今準備を整えている。準備が出来次第、お前には後宮に行ってもらう。当然十三姫とお前がそこにいることは極秘だ」

秀麗『もう一度、後宮へ…』

秀麗「どうしても後宮じゃなきゃ駄目なの?」
清雅「不満か?」
秀麗「確かに警備も厳しいけど、一番暗殺や不審死が多い場所でもあるじゃないの」
清雅「だからだ。あんまりがちがちに固めて、殺し屋がまるで出入できなくても困る。程よくゆるくて、ちょうどいい」
秀麗「私は囮って訳」
清雅「お前は死んでも困らない替え玉だからな」
秀麗「……分かったわよ」
清雅「御史台の仕事は後宮でやれ。当分は後宮で暮らしてもらうことになる」
秀麗「当分ていつまで?」
清雅「殺し屋の背後にいる奴の面が割れたらか、もしくは、十三姫が正式な王の妃になるまで、だな」
秀麗「分かったわ」
清雅「以上だ」

出て行った蘇芳と入れ替わりに入ってきた蘇芳。
蘇芳「……あのさあ、何かわかんねーけど、焦るなよ」
秀麗「タンタン…だって私の仕事でもあるのに、もう既にやること何にもないのよ」
蘇芳「良かったじゃん」
秀麗「え?」
蘇芳「替わりに仕事やってくれてやりぃ!くらいに思っとけば? あんたまだ18なんだぜ? 官吏も二年目。それで清雅君に引けを取らないなんて、絶対不可能だろ? あいつだって六年かかってああなったんだぜ? 人の助けは借りて恥じゃないだろ? 素敵な先輩に助けられちゃった~うふ♪て喜んどけって」
秀麗「そりゃ、本当に素敵な先輩だったら喜ぶけど、清雅なんだもん」
蘇芳「じゃ俺だったら?」
秀麗「素直に喜ぶわね」
蘇芳「じゃ素敵な先輩は俺だと思っとけよ。せっかく楽させてもらったのに、落ち込むほうが損だろ? 使える時間が増えて嬉しくないの?」
(こうやってタンタンは、上手に手を抜く方法を教えていたのですね)
秀麗「そうよね……そうだわ。ありがとうタンタン」
蘇芳「立ち直り早すぎ」
秀麗「いいじゃないのよ。よし、じゃ頑張るわよ、タンタン」
蘇芳「いや、俺は寝る」
秀麗「え?」
蘇芳は一つの巻物を差し出す。
蘇芳「さっき言ってた、牢獄の死刑者数と、死んだ人の数、出しといたから」
秀麗はそれを受け取って。
蘇芳「じゃ、おやすみ」
秀麗「あ、おやすみ」



御史台の資料室(?)で。
秀麗「やっぱり少しおかしい。牢で死んだ死刑囚の数に偏りがあるわね。紫州だけじゃなくて、もしかして他の州も…」
目当ての本は、かなり高いところにあって。
秀麗「一番上にある、あれかしら。えっと、踏み台、踏み台…」
その時。
リオウ「何をしている」
秀麗「あ」
リオウ「本を取りたいのか」
秀麗「リオウ君、駄目よ、御史台に入ってきちゃ」
リオウ「仙洞省長官はいつでも御史台に入れる。官位で言えば、葵皇毅より上だ」
秀麗「そうだったわね」
リオウ「で、何取って欲しいんだ」

リオウは踏み台に乗って、本を取ってやる。
リオウ「ほらよ」
秀麗「ありがとう」
秀麗は本を受け取って。
秀麗「私に何か用? お茶でも飲んでく?」
リオウ「茶なら俺が入れる。あまり男に何でもかんでもしてやると、それが当然だと思って付け上がるぜ。少しはしてもらうことを覚えろよ」

秀麗『清雅とはえらい違いだわ。爪の垢でも貰って、茶に入れて出してやろうかしら』
(秀麗なら絶対にやりかねん)

秀麗「優しいわね、リオウ君」
リオウは茶を入れながら。
リオウ「別にうちの一族なら普通のことだ。お前みたいなほうが珍しい」
秀麗「……二胡を弾いたら聞いてくれる?」
リオウ「…仕事があるんじゃないのか」
秀麗「一曲くらいなら気分転換になるもの。リオウ君が良ければだけど」
リオウは頷く。

リオウは秀麗の二胡を聞きながら。
リオウ「王に、傷つけることを言ったかもしれない」
秀麗「劉輝に?」
リオウ「別に嘘を言ったとは思ってないが、言い過ぎたと思う。今頃泣いてるかもしれん」



その通りであった。
劉輝「しゅすい~~~~」
珠翠「劉輝様、王ともあろう方がめそめそしてはいけません」
劉輝「刺繍だ。刺繍をしよう」
珠翠「(ひきつる)」
劉輝「余は刺繍をして、気を晴らすことにした! 付き合ってくれ」
よりにもよってなんで刺繍なの~!?という表情の珠翠。
劉輝「ししゅうぅぅ~しゅすいぃぃ~」
(星がきらきらと舞っています)
珠翠「(ため息)分かりました。お付き合いいたします」
劉輝「んふ♪」



秀麗「劉輝に直接謝った?」
リオウ「…いや」
秀麗「じゃ、行って来た方がいいわ。劉輝は優しいから、謝ればきっと許してくれるわ。劉輝はあなたのこと好きだもの」
リオウ「好き? あいつが俺を?」
秀麗「そうよ。劉輝の好意はものすごく分かりやすいじゃないの。おっとぉ!って思うくらい」



劉輝は珠翠の部屋で刺繍中。
(それにしてもうまいな劉輝)
珠翠「数日後、後宮の離れに、十三姫と秀麗様をお迎えします。私も参りますので」
劉輝「うん……よろしく頼む」
珠翠「嬉しくないのですか?」
劉輝「二人が同時に来るんだぞ? 嬉しいんだか嬉しくないんだか、どう反応していいかまるで分からん」
珠翠「……」
劉輝「珠翠、近々嫁に行く予定とかはないな?」
珠翠「何ですかいきなり」
劉輝「これで珠翠までいなくなられたら、余は真面目に泣いてしまうからな」
珠翠は自分の刺繍を置いて。
珠翠「主上、お側にいたいと思っています。できるだけ長く…それは本当です」
劉輝「珠翠」
珠翠「ですが、どうしてもお側を離れなくてはならなくなる日が来るかもしれません」
劉輝「!…な、何だ、もしかして本当に嫁に行くのか?」
珠翠は首を振って。
珠翠「私はたくさんのものから逃げて、いつも誰かに守られてきました。逃げて、逃げて…いつかこんな日が来るのは当然だったのかもしれません」
劉輝「珠翠…」
珠翠「! あの、でも大丈夫です。まだしばらくお側にいられると思いますから。さすがに今の主上を放ってはおけませんし」
劉輝「あ、ああ…ならば、いいが」



考えているリオウ。
リオウ「あいつが俺を好き、か…」
リオウは立ち上がって。
リオウ「邪魔したな」
秀麗「あら、行くの?」
リオウ「ああ」
リオウは窓から出ながら。
リオウ「俺は、お前の二胡は嫌いじゃない」
秀麗「あら、ありがと」
リオウ「じゃ」
リオウは出て行った。



回廊を歩いている珠翠。とても辛そう。
頭の中にこだまする声。
(何て言っているか分かりましたか?)
(「命令に従いなさい」というように聞こえたのですが、原作にはなんて書いてありましたっけね)
座り込んでしまう珠翠。
珠翠「だめ…まだ…お側を離れないと…約束……」
その時。
リオウ「よくここまで抵抗できるな。たいしたもんだ。まさか俺の目が、暗示の発動媒体になっていたとはな」
手を貸してやろうとするリオウ。
リオウ「部屋はどこだ、送って」
珠翠「いや! 近寄らないで!」
リオウ「…なんかすごく毛嫌いされてないか。しょうがないなぁ」
その時、さらに別の声が。
楸瑛「そのまま置いていってもらおうか」
リオウ「!」
リオウは楸瑛を見て、立ち去る。
楸瑛は珠翠を抱き上げる。
珠翠はぼんやりとした視界で。
珠翠「…邵可様…」
楸瑛「!」
珠翠「行ってください…お願い…行ってください…」
うわごとのように呟く珠翠。



藍家の貴陽邸。
十三姫「兄様、入るわよ」
十三姫が部屋に入ると、楸瑛は一つの扇を手に椅子に座っていた。
十三姫「玉華義姉様っぽくない扇ね」
楸瑛「違う女性のだからね」
十三姫「あら、そうなの!?」
楸瑛「何で声が裏返ってるんだ? 別に恋人でもなんでもないぞ。相手は他の男にぞっこんでね。さっきも間違われたよ」
十三姫「その女性は、後宮の女官か何か?」
楸瑛「当たり。筆頭女官だ。君も多分お世話になるよ。それで、何の用だ」
十三姫「離宮の様子を見に行ってたんでしょ? どうだった? いい感じ?」
楸瑛「きれいに整えられていたが、家で守るほうが楽だな。だが、これ幸いと御史台に屋敷に出入されても困るし、それに後宮の離れなら、何かあれば御史台の責任にできる」
十三姫「(冷めた目で)藍家の男っぽくてかっこいいわ~。兄様、私と秀麗さん守る気さらさらないわね」
楸瑛「二人とも、私が守らなくても、勝手に頑張るだろ」
十三姫「たく最低だわね。分かったわよ。なんとかするわよ」
楸瑛「藍家の男だからね。他の何者にもなれないよ」
十三姫は、後ろから楸瑛の首に腕を回す。
十三姫「あんまり無理しないのよ。妹の前でかっこつけるだけ損よ。まだ時間はあるわ」
楸瑛「君が来てくれて、良かったよ」
楸瑛はしばらく黙っていたが。
楸瑛「十三姫、次に私が会いに行く時が最後だと、王にお伝えしてくれ」
十三姫「! 分かったわ」
楸瑛「それと、もう一つ……」



後宮の入り口で、珠翠と静蘭が待っている。
後宮に向かっているのは秀麗と蘇芳。
蘇芳「今日から後宮暮らしか」
秀麗「好きで行くんじゃないわよ」
蘇芳「いいじゃん、しばらくのんびりしてれば」
秀麗「のんびりなんてしてらんないわよ」
珠翠「秀麗様!」
秀麗「あ、静蘭、珠翠!」
珠翠「お久しゅうございます、秀麗様」
秀麗「珠翠!」
再会を喜ぶ秀麗。
秀麗「久しぶり。元気だった?……どうしたの? 少しやつれたんじゃない?」
珠翠「そうですか? 大丈夫ですよ」
秀麗「そう? ならいいけど。後で何か、くつろげるお香とか取り寄せようね」
珠翠「はい」
秀麗「静蘭」
静蘭「お待ちしておりました、お嬢様、タンタン君。御史台から話は伺っております。どうぞ」

秀麗「後宮の離れって、もしかして桃仙宮?」
静蘭「そうです。十三姫は、もう着いておられますよ」
前方に、桃仙宮を見上げて仁王立ちになっている誰かを発見。
それは近づく気配に気づいて、くるりと振り返った。

秀麗『あら、あの子…?』

引ったくりを捕まえて、そこから追いはぎをしようとしていた…
秀麗「あの時の!」
十三姫「初めまして、じゃないわね。紅秀麗さん」


次回予告:
十三姫…おきゃんというかおてんばというか、かなり元気なのね。
何か私と通じるものを感じるわ。
顔も身長も似通ってるし、胸の大きさは……ふっ…
(最後の「ふっ」には、どうせ私のほうが小さいわよ!という哀愁がこめられています)
(次回第30話は「泣かぬ蛍が身を焦がす」です)









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