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彩雲国物語 第1シーズン 第二十四話 寝耳に水

アニメ「彩雲国物語」を文章で見たい!という方のために。
(管理人のツッコミつき)


『』=モノローグ
ナレ:=ナレーション

地上波再放送(金曜深夜)にあわせてレビューしています
キャストについては、公式HPを参照のこと

★第24話は秀麗甘露茶買い放題!のお話です★





ナレ(邵可):
静蘭、燕青、影月、そして秀麗の身代わりの香鈴は、茶家当主の座を狙う、茶仲障の孫草洵に捕らえられ、茶州に入るための関塞、いわゆる関所のある崔里の町へと連行された。



関塞、香鈴が休んでいる部屋。
扉をノックする音が聞こえ、影月が戸を開けると、そこには見知らぬ青年が立っていた。
少し気弱そうな、平凡な青年。
それを見た香鈴。
香鈴「克洵さん!」
影月「ご存知なんですか?」
香鈴「草洵さんの弟さんです、茶家三男の…」
克洵「お久しぶりです。香鈴さん」

影月『まずい、バレてる』



ナレ(邵可):
一人難を逃れた秀麗は、香鈴を名乗り、琳千夜という商人と行動を共にしていた。



秀麗は窓にもたれて、外を眺めながら。

秀麗『茶州に…崔里に入ってもう六日…みんな無事かしら』

燕青の言葉が思い返される。

燕青「何があっても金華を目指せ」

秀麗『なのにうちの放蕩若様は、一体いつになったら金華に向けて出発するのよ!』

イライラを募らせる秀麗。
その時、千夜が目を覚ました。
振り返って、その顔に笑顔を張り付ける秀麗。
秀麗「おはようございます、若さ…ま…」
千夜「おはよう、香鈴」
若君、ほとんど全裸。
秀麗「ぅ若様! 上着くらい着てください!

秀麗「今日は珍しくお早いんですね」
千夜「暑くて、寝ていられない」
秀麗「そういう時は根性で眠るんですよ」
千夜「あいにくと、その言葉にはとんと縁がない」
秀麗「まさしく根性なしですね。氷と、水菓子と、うちわの用意はしてありますが」
千夜「いや、二胡がいいな。気分だけでも涼しくなるような曲を弾いておくれ」
秀麗「毎晩遅くまで弾かせといて、よくあきませんねぇ」
千夜「今まで、君ほど私好みの音を出してくれた人はいないよ」
秀麗は二胡を取る。
秀麗「はいはい、それより、いつになったら金華に向けて出立なさるんですか?」
千夜「んー、そろそろなんだけどねぇ」
ごろりと寝台に横になる。
秀麗「そろそろ?」
千夜「さ、弾いて」
ため息をつく秀麗。



こちらは紫州、王宮。
庭院で考え込んでいる劉輝。
宋太傅「浮かぬ顔をしていますな」
宋太傅が席に着く。
劉輝「宋太傅、茶家には茶太保以外の人材は誰もいないのか?」
宋太傅「何で今更、そんなことを?」
劉輝「霄太師が、わざわざ茶州へ行くというので気になって」
宋太傅「それは茶家当主の指輪を持っていくためでしょう」
劉輝「霄太師が持っていると知っていたのか!?」
頷く宋太傅。
宋太傅「茶家のことですが…14,5年くらい前、所用で里帰りした茶太保、鴛洵が、茶州から戻って来た時に言っていた。茶家には、化け物がいるかも知れぬと」
劉輝「化け物?」
宋太傅「その話はそれっきりだったが、9年前の内乱で、鴛洵の息子夫婦が殺された時に、わしはその言葉を思い出した」
劉輝「…?」
宋太傅「鴛洵が紫州にいたとはいえ、息子夫婦を殺した奴はどうやって英姫の目をかいくぐったのか…」
劉輝「茶太保の奥方か」
宋太傅「そう、異能の力を持つ縹家の娘英姫には、先読みの力があった。その英姫の近くで息子夫婦を殺すなんて芸当は、それまでの茶家では誰も出来なかった」
劉輝「それで、茶家に化け物がいると」
宋太傅「いるかどうかはわかりません。ただいるとすれば、相当にヤバイ奴でしょう」
劉輝「化け物、か…」



崔里。
千夜のために二胡を弾いている秀麗。
千夜「本当に上手だね。どこで覚えたんだい?」
秀麗「母に。二胡は得意だったんです。それにしても」
と、起き上がった千夜を見て。
秀麗「上着を着てくださいとは言いましたけど、本っ当に上着引っ掛けただけですね」
千夜「君も、私の用意したかわいい衣装を着ないじゃない」
秀麗「若様、私はお姫様じゃないんです。何であんな衣装が必要なんですか?」
千夜「目の保養になるから」
秀麗「素直に嫌がらせとおっしゃったらどうですか?」
千夜「心外だな。君は美人になる素質は十分に持っているよ」
秀麗「なっ…」
千夜「今はかわいいというほうがぴったりだけどね」



崔里の関塞、地下牢。
燕青がいる牢の扉の鍵が開けられる。
燕青「今日は飯だけじゃねんだな」
入って来たのは克洵。
克洵「七日たちました。もう香鈴さんは心配ないそうです」
燕青「いいんだな、克洵」
克洵は頷いた。
克洵「香鈴さんの体調が回復するのを待っていたのでしょう? あなたならいつだって、逃げられたはずです」
克洵は燕青に愛用の棍を渡す。
燕青「まあな、でも余計な体力使わずに済むなら、そのほうがいいじゃん?」
そう言って牢を出る。
燕青「なぁ静蘭。お前が陛下にもらった剣も、早く取りに行かねぇとなぁ。万一売られちゃってたら、洒落になんねえもんな」
克洵は静蘭の牢の鍵も開ける。
静蘭「心配するな。あの剣はかなりわがままだからな。そう簡単には売られないだろう。それに、この剣も悪くない」
克洵から仮の剣を受け取る。
燕青「んじゃ、とっととトンズラするかぁ」
克洵「ま、まさか、州牧たちを助けないつもりですか」
燕青「影月は、助けてくれって言ってたか?」
克洵「いえ、香鈴さんの容態だけ伝えて欲しいとしか…」
燕青「んじゃ平気だろう」
克洵「捕まってるんですよ」
燕青「敵に捕まってんのなら、もうそれ以上捕まりようがねぇじゃん。だから平気」
克洵「それって何かおかしくありません? 僕は、あなたさえ牢から出せば…」
燕青「全部うまく行く…て?」
思わず口をつぐむ克洵。
燕青「影月と香鈴嬢ちゃん、それに春姫も助けてもらえるってか」
克洵「……」
燕青「甘いな克洵。
お前は何かしているようで何もしていない。ただ期待してるだけだ。
自分より強い誰かが、何とかしてくれるってな。
春姫のほうが、お前よりよっぽど肝が据わってるぜ」
克洵「春、姫…」
燕青「春姫の心配より、まず自分をなんとかしな」
克洵「何とかって…」
燕青「お前より若い影月も嬢ちゃんも、しっかり覚悟決めてんだぜ。
あいつらが今もちゃんと生きてるのはな、ギリギリのところで踏ん張って、
ドたま最大限に働かして必死で綱渡りしてるからだ。
誰かに助けてもらうことを考える前に、自分で何とかしてみろってんだ。
なあ克洵、茶家三男の立場にあるお前が、七日の間俺たちに、
飯と水運び続けて、こうして鍵を開けたことだけはよくやったと思うぜ。
草洵兄貴にばれたら、やべえことになるだろうに。よくやったよ。
命かけろなんて誰も言ってねぇ。
ただ、絶対不可能なことと、出来ることすら最初からあきらめてやらねえのは違う」
燕青は踵を返した。
燕青「じゃな」
牢を出て行く燕青と静蘭を、見送る克洵。

静蘭「おせっかいだな。自分でなんとかしろと言っときながら、わざわざ説教して、背中押してやるとはな」
克洵「背中押してやってなんとかなるなら、その方がいいじゃん」
静蘭「…彼で何とかなるのか」
そこへ。
「いたぞ! こっちだ!」「逃がすな!」「大人しくしろ!」
兵たちに見つかる。
燕青「とっとと片付けて、姫さんたちと一緒しような」
静蘭「役人たちに怪我させるなよ」
燕青「おうよっ」



千夜のところにいる秀麗。

秀麗『みんな、無事で…!』

今はただ、祈るばかり。



影月と香鈴がいる部屋。
いきなり扉が開き、草洵が荒々しく入ってくる。
草洵「畜生! 浪燕青のやつ! マジで逃げやがった!」
いきなり影月をつかみあげ。
草洵「お前ら、本当に本物の州牧か!? なんで燕青の野郎はお前ら置き去りにしてトンズラこきやがった!?」
影月「それは…本物だからじゃ、ないでしょうか」
草洵「なんだと!?」
影月「僕たちが本物の州牧なら、あなた方は、殺せない。だから…」
草洵「ふざけんな!」
影月は床に投げ飛ばされる。
草洵「殺せねえのは、紅家直系のそこの女だけだ! 勘違いすんなよ。お前はおまけで生かしてやってるだけだ。いつだって殺せんだよ! こんな風にな!」
と、槍を影月に振り下ろそうとしたその時。
香鈴「おやめなさい!」
草洵の動きが止まる。
香鈴は寝台から降り、毅然とした態度で。
香鈴「お疑いなら殺せばよいでしょう。ただし、それなりの覚悟をなさい」
草洵「なに?」
香鈴「杜州牧を殺せば、私はすぐさま自決致します。私が死ねば、直ちに紅一族が動くでしょう。この地で二人が命を落としたら、それは誰のせいか」
草洵「なっ…」
香鈴「茶家への徹底的な報復を見て、その時、死んでも拭いきれない後悔をするがいい! その覚悟があおりなら、さあ、殺しなさい!」
影月「それに、あなたとご一緒だったあの男の人は、燕青さんが逃げると断言してらっしゃったんでしょう?」
草洵「あの男?」
草洵は思い返す。

(回想)
草洵「脱走!?」
瞑祥「しますよ、あの男ならねぇ」

草洵『瞑祥か…』

草洵「ちっ、ああくそ! 燕青が逃げてから、こいつらを金華まで送るんだったか…ちっくしょう! 俺はあいつの脳天かちわりたかったのに!」
その時、別の声がした。
克洵「ならばその二人、僕が金華に連れてきましょうか、兄上」
草洵「克洵、てめえが? てめぇは春姫にかぶれてから馬鹿しか言わねえ」
克洵「ここらで茶家の三男として、名誉を回復したいんです」
草洵「朔洵の野郎は金華から出てこねぇし、ま、お前でもガキのお守りくらいはできるか。いいだろう克洵、なるべく早く金華に連れて行けよ」
そう言って、草洵は部屋を出て行く。
影月「克洵さん、燕青さんたちを逃がしてくれて、ありがとうございます」
香鈴「あなたったら、小さいくせに無茶ばっかりして!」
影月「僕、こう見えても結構頑丈なので、全然平気です」
香鈴「いくら頑丈でも、槍で刺されたら死にます!」

そんな二人を見ながら克洵は、燕青の言葉を思い出す。

燕青「あいつらが今もちゃんと生きてるのはな、ギリギリのところで踏ん張って、ドたま最大限に働かして必死で綱渡りしてるからだ」

目の前の二人は、確かにそうだ。

影月「克洵さん、しばらくご一緒しますが、よろしくお願いします。これでやっと気が抜けますー」
克洵「いいのですか? 僕はあの草洵の弟なんですよ」
影月「あなたは香鈴さんを偽者と知っていながら、誰にも言いませんでした」
克洵「僕は強くありません。これから裏切るかもしれない」
影月「かまいません。それはあなたの事情ですから。ただ僕たちはやるべきことをやるだけです」
克洵「崔里から金華まで、ひと月はかかります。旅の支度をしてください」
影月・香鈴「はい」



千夜の元にいる秀麗。
秀麗「崔里に入ってもう七日です。いつ出立するんですか?」
千夜は秀麗の後ろにたち、つぼみ(かんざし)を抜く。
秀麗の髪が、はらりと落ちる。
秀麗「!」
千夜「ん、やっぱり髪は下ろしたほうが絶対いい。というか私好みだから、下ろして欲しいんだけど」
秀麗「かんざし返してください。この暑いのに下ろしてるつもりはさらさらありません」
千夜の手からかんざしを取り返す秀麗。
秀麗「全くもう、若様ったら」
そう言って、再び髪を結い始める。
千夜「私の髪も、結んでくれるかい?」
秀麗「適当にくくるだけじゃないですか」
千夜「それが難しいんだよ」
秀麗は折れた。
秀麗「結んであげますよ」

千夜の髪をくしでとく。緩やかに波打っている髪。
秀麗「いくら大商人のご子息でもですね、今のままだと、あなたの代で潰れますよ」
千夜「はっきり言うね。どうして?」
秀麗「商人に一番必要なのは、何事も迅速に!なんです。なのに若様と来たら…」
千夜「うん、分かった。今日出立する」
秀麗「は?」
千夜「今日の昼にも出立するよ。何事も迅速に、だろ?」
秀麗「そうですけど…」
千夜「それになんだか、物騒になりそうだからねぇ」
秀麗「物騒?」
千夜「関塞で、脱獄があったみたいなんだ」
秀麗「!」
千夜「ものすごく強い二人なんだって」
秀麗「確かに、物騒ですね」
千夜「怖い話だね」
秀麗「そうですね」
千夜「新州牧の派遣問題で、最近の茶州はぴりぴりしてるし、そこへ来て脱獄騒ぎだ。大丈夫、無事に金華まで連れて行くから、安心していいよ。私は、君を初めて見た時から、とても気に入っているんだからね」
秀麗は髪を結い終えた。
秀麗「ちょっと、出かけて来ていいですか? 若様」
千夜「ん?」



町へ出た秀麗。
お茶を売っているお店へ入る。
店主「へい、いらっしゃい」
秀麗「お店にあるだけの甘露茶、全部下さい」
店主「え? ぜ、全部?」
秀麗「はい、御代は昼までに、うちの放蕩若様、琳千夜様までお願いします」
店主「ああ、少々お待ちください」

お茶を抱えて。

秀麗『ようやく先に進めるわ。
静蘭、燕青、影月君、香鈴、金華で会いましょう。絶対!』



ナレ(邵可):
それから二十日あまり、秀麗は、小さな町についていた。



秀麗が街を歩いていると、人々が噂しているのが聞こえる。
「今度は絽茜の町に出たんだってよ。謎の賞金稼ぎ二人組み」
「あの殺刃賊を片っ端からとっつかまえて、荒稼ぎしてるんだってな」
「しかも一人はかなりの美形なのよね」
「もう一人は人間じゃないみたいよ」
「なんでも、熊か何かの妖怪らしいわ」
張り出されている似顔絵は、確かにその通りで。
秀麗は苦笑しながら思った。

秀麗『ちゃんと路銀稼いでいるなんて、なかなかやるじゃないの。
それに、影月君や香鈴が一緒にいないってことは、二人とも無事なんだわ。
でなければ、静蘭たちが助け出してるはずだもの』



一方、その賞金稼ぎ二人組は。
燕青「この人相書きひでぇよなぁ。俺だって髭剃れば、ちょっとはいい男なんだぜぇ? それにしても姫さんが、ちゃんと足跡残してくれるから、さすがだよなぁ」
ひどい人相書きを見ながらひげの手入れをしている燕青。

二人が集めた情報は、お茶を売っている店で。
「甘露茶は売り切れだよ」
「二胡の上手なお嬢ちゃんが、全部買いしめてったよ」

燕青「俺たちは茶葉屋に行って、甘露茶ある?って聞けば、それだけで姫さんの消息が分かる。怪しまれることもなく、下手に伝言や手紙を残すより、よっぽど安全で確実に店主の記憶に残るんだからなぁ。なんとも鮮やかなもんじゃん?」
静蘭「お嬢様ならそれくらい当然だ」
燕青「にしても、感激じゃん。あの倹約家の姫さんがさ、俺らのために金を湯水のように使ってくれちゃってるんだぜ? ほんと、愛されてるよなぁ俺たち」
そういう燕青は、髭を剃ってさっぱり。

その時、怪しい気配に二人の顔が厳しくなる。
案の定、後ろから武装した男たちが姿を現した。
静蘭「殺刃賊!」
燕青のほうからも、ぞろぞろと現れる。
燕青「茶州は俺と悠舜の縄張りだぜ。殺刃賊だと? 馬鹿が。俺のいない間にのこのこ出てきやがって。後悔させてやる!」
そしてまた、ひと暴れ…



秀麗が街道を歩いていると、突然後ろから。
千夜「こーりん♪」
秀麗はびっくりして振り返った。
秀麗「げっ、若様!」
千夜「げぇってなんだい。私は今まで女性に声をかけて、そんな返事はもらったためしはないよ」
秀麗「あははは、あんまりびっくりしたもんで…」
千夜「君がまたお茶を購入しないか見張りに来たんだが…」
秀麗「ああ、それなら一足遅かったですね」
千夜「そのようだねぇ。行く先々で、甘露茶を買い占めてどうするの? 茶屋でも開くつもり?」
秀麗「いいえ、大切な人たちに、後でたくさん入れてあげるためです」
千夜はふと立ち止まり。
千夜「ふーん……いるんだ、大切な人」
秀麗「ええ、います」
一瞬厳しい表情を見せたが、すぐに笑顔に戻って。
千夜「妬けるねぇ」
秀麗「……?」

千夜「絽茜か」
秀麗「え?」
人相書きの看板を見ながら。
千夜「追い抜かれてしまったね、謎の賞金稼ぎ」
秀麗「あ、そうですね」
千夜「殺刃賊も、謎の賞金稼ぎも、まるで私たちを追いかけてくるみたいに、一緒の方向に向かっている」
秀麗「そ、そうですかぁ?」
千夜「身軽なところはうらやましいなぁ。でも、私たちは余裕を持ってのんびり行こうね。まだ金華まで10日はかかる」
秀麗「若様のは、余裕じゃなくて、怠惰って言うんですよ」
千夜「なるほど、うまいな」
千夜は秀麗の前に進み出て、向き直る。
千夜「ねえ、これほど短期間でここまで私を分かってくれた女性はいないよ。もう、私たちは夫婦になるかしかないと思うんだ」
いきなりの話に少し赤くなりながら。
秀麗「あ、あのねぇ、若様」
千夜「若様は、そろそろよして欲しいな」
秀麗「え?」
千夜「琳家の若様じゃなくて、私を見て欲しいな」
秀麗「!」
脳裏をよぎる、あの人の言葉。

劉輝『王ではなく、私を見て欲しい』

秀麗『この人…』

千夜「千夜、と…そのかわいい声で、名前を呼んでほしい」
秀麗「…!」
秀麗はあわてて。
秀麗「私は、若様という呼び方が気に入ってるんです。それに夫婦だなんて、冗談は止めてください」
背を向けた秀麗に。
千夜「お似合いだと思うんだけどねぇ」
秀麗「年の差を考えてから言ってください」
千夜「そお? 年ねぇ。そういえば、茶州に来る新州牧と、茶本家の子息の結婚話も、似たような年回りだったよ」
秀麗「あーそう、新州牧と、茶本家の……はいっ!?」
千夜はじっと秀麗を見ている。

秀麗『それって、私のことよね。結婚って、どういうこと!?』


やっつけた殺刃賊を縛り上げている静蘭と燕青。
燕青「そういや、町で噂になってたぜ」
静蘭「何が」
燕青「姫さんと茶家の次男坊の結婚」
静蘭「!」
燕青「その様子じゃ、寝耳に水のようだな。ま、でも王道だよなぁ。姻戚関係結んで取り込むのって。長男は草洵で克洵は三男、次男は朔洵か。年は29くらいだから、俺らよりちょい年上で、姫さんとは12違いか」
静蘭「どうせ最初からまとまるはずもない縁談だ。万が一まとまったとしても、その朔洵とかいう男、あっという間に黎深殿に刺客を送られて、瞬殺でご破算だろう」
燕青「それって、洒落じゃねえとこがこえーよな」
(まったくよ)
燕青「姫さんも影月も、いい州牧になるぜ。傍で働ける日が、楽しみだな」
静蘭「ああ」
燕青「お前もいるしな」

その時。

「残念ながら、その日が来るのはあきらめてもらおうか」

二人の前に現れたのは…
静蘭「瞑…祥…!」
一気に血が上る静蘭。それを抑えるように燕青。
燕青「殺刃賊頭領、、直々のお出ましか」
瞑祥「14年ぶりだな、小旋風、小棍王」



二胡を弾いている秀麗。
黙ってそれを聞いている千夜。

秀麗の顔は、心なしか険しい。









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