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彩雲国物語 第1シーズン 第二十三話 旅は道連れ世は情け

アニメ「彩雲国物語」を文章で見たい!という方のために。
(管理人のツッコミつき)


『』=モノローグ
ナレ:=ナレーション

地上波再放送(金曜深夜)にあわせてレビューしています
キャストについては、公式HPを参照のこと

★第23話は茶朔洵初登場!のお話です★
(他にも初登場は何人もいるけど)





ナレ(邵可):
彩雲国を構成する八つの州の一つ、茶州。
その州都、琥璉のとある屋敷の一室で、今、一人ほくそ笑んでいるこの男こそ、茶太保こと茶鴛洵の弟、茶仲障である。

仲障「時は来た…兄上、あなたが死んでから1年。
当主の座を巡ってどれほどの争いが起こったことか…
しかしそれもじきに終わる。
新しい州牧を抑え、佩玉と印を支配した者こそ、新たなる当主となるのだ。
まずは、浪燕青の抹殺を…」



砂恭、秀麗たちが泊まった宿では。
兵「我々は崔里関塞の者だ。大人しくしろ!」
なすすべもない燕青たち。
秀麗は寝台の下で息を殺している。
兵「去年の夏および今年の春、堂々と関所破りをした罪、言い逃れはできんぞ!」
ぎくっとなる燕青。ため息の静蘭。
兵「余罪も上がっているぞ。ここひと月に渡って近隣の町や村を襲っての金品強奪殺人と、洗いざらい吐いてもらうぞ! 殺刃賊の一味、小棍王!」
その言葉に、表情が険しくなる燕青と静蘭。
燕青「関所破り以外、全然身に覚えねんだけど、しょうがねぇ、ちょっくら行ってくるわ」
兵「あいにくと連れて行くのはお前だけじゃない」
静蘭に剣が向けられ。
兵「お前は殺刃賊の小旋風だろう!」
静蘭「!」
思わず剣に手をかけた静蘭を、燕青が止める。
燕青「だめだ、抵抗すんな静蘭」
結局、香鈴も影月も、一緒に連れて行かれる。



茶家の屋敷。
茶仲障「次は新州牧だ。小僧のほうは殺してもかまわんが…
問題は、もう一人…
殺せば紅家が黙っておらんな…ならば取り込むまで。
こちらは朔洵が適任か…
時は来た!
兄上の血など、残る孫娘を片付けてしまえば絶える…
だがわしは死んでも血を残してみせる。
先に死んだあなたの負けだ。あなたを超えてみせるぞ茶鴛洵…!」



宿。
一人取り残された秀麗。寝台から這い出して周りを見回す。
秀麗「……」
掃除されたように、きれいに誰もいない。



関塞の地下牢に放り込まれた静蘭と燕青。
静蘭「役人殴ってその隙に勝手にハンコを押して来ただと!?」
燕青「王様に直訴するんで急いでるってのに、なんだかんだと難癖つけて通さねぇって言うからさ」
静蘭「このカカシ頭が! お嬢様に何かあったら貴様をぶち殺す」
燕青「ちょっとは信じてやれよ。姫さんは隠れたまま出てこなかった。俺たちと一緒じゃ、茶家はやすやすと州牧二人を手に入れちまうからな。何が最善の策か、ちゃんと理解したんだ。これは姫さんの州牧としての、状況判断の結果だ。俺たちはあくまで補佐で、判断するのは姫さんの役目だ」
静蘭「私はお前とは違う。州牧の護衛が役目だ。なぜ私までここにつれてきた」
燕青「いつものお前なら、問題ないんだけど」
静蘭「…なに?」
燕青「殺刃賊がな…」
静蘭「!!」
燕青「まさか、今になってこの名前を聞くことになるとはなぁ。お前見境なくなって、暴れだしでもしたら止められるの俺ぐらいじゃん? あのまま姫さんと逃がしても、不安なだけだね」
静蘭「相変わらずむかつく男だ」
燕青「大丈夫、姫さんならちゃんと金華で会えるさ」



その頃秀麗は、砂恭の町の中をうろうろしていた。
ついさっきまで一緒だった静蘭たちが、幻のように思い出される。

燕青『なあ姫さん、うまいもんいっぱいあるぜ? 買ってきていい?』
影月『賑やかな町ですねぇ。あ、すごい。古本屋さんがあります』
静蘭『お嬢様、お疲れではありませんか? 氷など買って来ましょうか』
香鈴『秀麗様、私元気になったらまた、身の回りのお世話をいたしますわ』

彼らとはぐれて、心細いのは嘘ではない。
こんなにも自分は、彼らに頼りきりになっていた。



関塞の地下牢。扉が開けられる。
燕青「おいでなすった。結構早かったな」
入ってきたのは、茶鴛洵の弟、茶仲障の孫、長男の茶草洵。
草洵「まさかと思ったが、本物の浪燕青か」
燕青「よぉ! 草ちゃんじゃん、久しぶりぃ」
草洵「草洵様と呼べ! お前と一緒ということは、あの小僧と娘は本物の新州牧か」
燕青「本人に聞いてみたら?」
草洵「偽者だろうがかまうか。必要なのは佩玉と印だ。それさえあれば、適当な奴を自由に州牧に出来るからな。だが肝心のそれがどこにもなかった。言え! どこに隠しやがった!」
燕青「さぁ?」
草洵「…挑発しても無駄だ」
燕青「うわ! どうしたわけ? ちょっと見ないうちに随分理性的になったじゃん」
持っていた長槍を振り回す草洵。
草洵「うっせー! お前さえ捕まえときゃどんな新州牧が来ようが関係ねえんだ。隠し場所も言わねえでかまわん。隠して運ぼうが何をしようが、最終的には琥璉に入ってくる。あそこは俺たちの縄張りだ。お前と鄭悠舜さえ消せばゆっくり探せるってもんだ」
燕青「ほんとに知恵ついたなぁ、草ちゃん。誰に教えてもらった?」
槍が燕青めがけて突きおろされる。だが燕青は軽くよける。
草洵「ちっ! できるならてめぇは俺の手で殺してやりてぇよ」
燕青「無理だろ。この程度の腕じゃな」
草洵「なら餓死させてやる」
燕青「ああ! 一番いやな死に方!」
草洵「ついでにいいこと教えてやろう。金華はすでに抑えた。殺刃賊がな」
燕青・静蘭「!」
草洵「そうだ、あの伝説の極悪盗賊集団殺刃賊が俺たちの手下になった」
燕青「随分前に壊滅したはずだろ」
草洵「生き残りがいたんだよ。それもかつての副頭目、瞑祥がな」
静蘭の顔が一気に険しくなる。
草洵「ま、逃げられるもんなら逃げてみな」
草洵は牢屋を出て行った。
静蘭「あれが茶草洵か」
燕青「ああ、どうやら厄介な奴が入れ知恵してるみたいだけど」
静蘭「そのようだな」
燕青「草ちゃん、今回初めて餓死って言葉を覚えたんだぜ?」
椅子に座って。
燕青「瞑祥か…通りで小棍王なんてあだ名で呼ばれるわけだ……静蘭」
静蘭「なんだ」
燕青「するんだろ? 亡霊退治」
静蘭「する。お嬢様に昔のことを暴露する可能性のある奴は、全員奈落に叩き落してやる!」
(じゃ燕青もその奈落に落とされる!?)
燕青「姫さんと合流するのは予定通り金華の町だ。殺刃賊が抑えてるんなら、州牧補佐としても、早いとこ芽を摘まねぇとな」
静蘭「影月君たちはどうする」
燕青「それを決めるために、もうちょっとここにいていいか?」
静蘭「は?」
燕青「全部終わったら、みんなで甘露茶すすろうぜ。姫さんにおいしいのいれてもらってな」
にかっと笑う燕青。



崔里関塞の一室。
まだ完治していない香鈴が横になっていた。
影月「大丈夫ですか?」
香鈴「秀麗様は?」
影月「逃げました。静蘭さんと燕青さんはここの地下牢に」
香鈴「私など、置いて逃げればよろしかったのです」
影月「香鈴さん、なぜ燕青さんが、秀麗さんだけを隠したと思いますか?」
香鈴「さあ?」
影月「捕まるんなら、4人で捕まったほうが良かったんです。新しい州牧は、13歳の少年と、17歳の少女。その補佐に、前州牧の燕青さん、専属武官である静蘭さん、茶家が探しているのはこの四人組です」
香鈴「私に、秀麗様の身代わりを?」
頷く影月。
影月「秀麗さんは紅家直系のお姫様です。普通は深窓の姫君を連想するでしょう? こんなこといったら秀麗さんに怒られちゃいますけど、香鈴さんのほうが、よっぽどそれらしいです」
香鈴「……」
影月「お陰で手厚い看病もさせてくれるし、お宿代も浮きました。秀麗さんへの追及も阻めて、いいことづくめじゃないですか」
香鈴「なんだか本当にそんな気がしてまいりましたわ」
影月「ここは僕たちで騙しぬきましょう」
香鈴「ええ。私、秀麗様のために立派にやり抜いてみせます」
影月はそんな香鈴をにっこりと見下ろして。
香鈴「…な、なんですの?」
影月「香鈴さん、そういうお顔をしているほうが、ずっと素敵ですよ」
香鈴「なっ、生意気ですわ!」
照れ隠しに向こうを向いてしまう香鈴。
(どうして額の布が落ちないのだろう…)←アニメだからデス



ところ変わって、紫州の王宮。
劉輝の部屋に、霄太師がひょっこりやってきた。
霄太師「主上、少々頼みがあるのじゃが」
劉輝「却下」(即答!)
霄太師「ま、別に聞いてもらわずとも勝手に行きますじゃ」
劉輝「行く? どこへだ」
霄太師「茶州へ。これを届けにのう」
そういって劉輝に見せたのは。
劉輝「茶家当主の指輪! お前が持っていたのか、この腹黒極悪じじい!」
霄太師「では、行ってまいります」
劉輝「その指輪、誰に渡すつもりだ」
霄太師「心配せずとも、前途有望な新米官吏たちをいじめるような真似はしませんぞ。選ぶのはわしではなく、これゆえ。それだけは確約できますな」
劉輝「はぁ…?」
霄太師「いやぁ、秀麗殿の顔を見るのも久しぶりですな。またあの手作り饅頭でもいただいてきますかのう」
水戸黄門のように高笑いをしつつ、部屋を出て行く霄太師。
歯軋りして見送る劉輝。
(あんのくそジジイ! と思っているのがよぉく分かります)
(ちなみに原作ではもっとえげつないです)



砂恭の町を歩いている秀麗。
秀麗「お金、これだけか。節約しなきゃ」
燕青の言葉。

燕青「何があっても金華を目指せ。いいな」

秀麗「なんとしても、金華へたどり着かないと」
その時、酒瓶を持ってふらふら歩いている男が秀麗にぶつかる。
男はぶつかった拍子に酒瓶を落として割ってしまう。
男「ああ!」
秀麗「ごめんなさい」
男「馬鹿野郎、なんてことしてくれるんだ。この酒は銀20両もするんだぞ!」
秀麗「銀20両!? そんなわけないでしょう?」
男「それがするんだよ」
秀麗が落とした財布を拾って。
男「ちぇ、しけたもんだ」
秀麗「返してください、ちゃんと弁償します。でも、あれがそんなに高いお酒だったとは思えません」
男「なにをぉ!」

その時。
「私にも、そんな高級品には見えないがな」
男「なんだとこらぁ!」
振り返ると、商人の格好をした青年が、兵と場所を連れて立っていた。
男「何だ、てめぇ」
商人「何だと言われても、見ての通りの商人ですよ。全商連加盟の」
男「全商連!?」
そういうと男は、悔しそうに秀麗に財布を投げつけ、逃げていく。
その時、ふと、秀麗は思いついた。
秀麗「そうよ、全商連があったわ!」
きょとんとしている商人。



崔里の関塞。
香鈴が寝ている部屋を訪れた人がいた。
茶草洵と、顔に傷のある男。
草洵「貴様らが新州牧だと? マジでガキじゃねぇか」
男「とりあえず、本物かどうか試してみましょう」
男は影月に向かって。
男「七経の中で、基子が勇王に説いた天下を治める九つの大法は?」
影月「五行・五事・八政・五紀・皇極・三徳・稽疑・庶徴・五福」
男「七経のどの書、どの項、どの節?」
影月「書経洪範の項、四十二節三行目から、四十三節十二行目まで」
男「なるほど……では娘、詩仙茗茜子がその名を高めるきっかけとなった詩を、これに書け」
影月「まさかあんな長大な詩を全編書けと?」
男「何か問題でも?」
影月「え、いや、彼女は今、具合が悪くて」
香鈴「お貸しください」
香鈴は紙と筆を受け取り、書き始める。
その様子をしばらく見ていた男だったが。
男「もう良い。二人とも、本物とみなしてよさそうですね、草洵殿」
草洵「あ、ああ」
男「あとは、佩玉と州牧印か…」
草洵「こいつらしめあげて吐かせりゃいいだろうが」
男「いや、多分知らないだろう。必要最低限の情報しか、与えられていないはず。例えば、金華に行け、というような…」
影月「!」
男「やはり。もともと、後生大事に抱えてくるとは思っていない。だからこそ先手を打って金華を抑えたのだ。茶州一の商業の都、金華。琥璉に入る物品は、全てそこを通過する。荷物に紛れ込ませて、すりぬけようと考えていたのだろうが」
草洵「さすが、殺刃賊の新頭領、瞑祥だぜ」
そう、この男は瞑祥。
瞑祥「佩玉と印もなしといえど、お前たちに利用価値がなくもない。特に娘には…」
影月・香鈴「……」
瞑祥「草洵殿、弟君は?」
草洵「朔洵か、まだ金華にいるってよ。街道は賊が出るから怖いんだとよ」
瞑祥「では、この二人を連れて行ったほうが早そうだ。お嬢さん、未来の義兄上が安全に金華まで送ってくださるのでご心配なく」
香鈴「どういう意味ですか」
瞑祥「茶本家は、あなた様を朔洵殿の妻にと望まれているのです」
香鈴「!!」
影月「え!」
瞑祥「さて、私は一足先に金華に戻りますが、あなたは浪燕青が脱走するまでは、ここに滞在したほうがいい」
草洵「脱走!?」
瞑祥「しますよ。あの男ならね」



その頃秀麗は、出会った商人とお茶を飲んでいた。
商人「ほう、一人で金華まで。しかし…」
秀麗「ええ。危険なのは分かっています。だから全商連を通じて、金華に行く隊商を紹介してもらおうと」
商人「なるほど」
秀麗「全商連なら、信用できますから」
商人「それに、賊に襲われる心配もない」
秀麗「きっちり報復するって話ですものね」
商人「ええ、盗賊団を壊滅させるのは当たり前。溜め込んでいたお宝も、ごっそりちょうだいしますから」
秀麗「よっぽど間が抜けた盗賊じゃない限り、全商連の隊商は襲わないってわけですね」
商人「そういうことです」



その後、秀麗が全商連へ向かって町の中を歩いていると、二胡を売っているお店を見かけた。
思わず手に取る。すると。
店主「お嬢さんお目が高い。それは黒州産のとてもすばらしい二胡ですよ」
秀麗「試し弾きをしていい?」
店主「どうぞどうぞ」
秀麗は弾き始める。
その演奏に、大勢の人が集まり始め、演奏が終わると拍手して喜ぶ。
店主「これは驚いた。見事な弾き手ですね。その腕に敬意を払って、格別にお安く、銀5両! いかがです?」
秀麗「いらないわ。そんなに手持ちがないし。でも…」
店主「でも?」
秀麗「銀1両なら買ってもいいわ」
店主「お嬢さんそれはひどい」

すると、木の陰から楽しそうなくすくす笑いが。
秀麗が顔を向けると、一人の青年が秀麗を見ていた。

青年「お話中に失礼。その二胡が欲しいんだね? もし私の所望する曲を5曲弾いてくれたら、買ってあげるよ」
秀麗「曲目は?」
青年「東湘記、鴦鴦伝、彩宮秋、琵琶記、蒼瑤姫」
秀麗「難しい曲ばかりね」
青年「弾けない?」
秀麗「いいえ、望むところよ」



砂恭の街を歩いている秀麗と青年。
秀麗の手には、二胡。
青年「見事だったねぇ」
秀麗「それはどうも」
青年「曲もそうだけれど、結局値切って、2両で二胡を買って、残りの3両を懐に入れるなんてね」
秀麗「銀5両って約束だったんだから、返さないわよ。えっと…」
青年「琳千夜。千夜って呼んでいいよ」



二人は、砂恭の全商連につく。
門を見上げて。
秀麗「ここが砂恭の全商連支部」
千夜「さ、入ろうか」
秀麗「え? あなたもここに用事?」
千夜「ああ、一仕事終えて、これから茶州に帰るところなんだ。その手配をしてもらおうと思ってね」

秀麗『てことは、この人も全商連の商人ってわけ?』

千夜「入らないのかい?」
秀麗「あ、ちょっと待って」

中に入ると、一人の男が出迎えた。
男「これは琳様、ようこそおいでくださりました。すぐにご案内いたします」
男が手を叩くと、使いの者がやってきた。
千夜「それではね。その二胡は、私と思って大事に使っておくれ」
秀麗「あ、ええ」
去っていく千夜。男は秀麗に聞く。
男「あーさて、お嬢様はどのようなご用件で?」
秀麗「はい、金華に行く隊商に入れていただけないかと思いまして」
男「失礼ですが、手形はお持ちですか?」
秀麗「あ、はい。これです」
秀麗が手形を見せると、男の顔色が変わった。
男「こっ、これは!!」
態度が豹変する。
男「し、失礼しました。ご案内いたします」
ずらりと膝をついている男たちの間を、驚きながら歩く秀麗。
男「全商連紫州部砂恭地区区長が、お会いになります」
秀麗「え? なんでそんな偉い人が?」
男に案内されながら。

秀麗『確かにこの手形は、黄尚書からいただいたもの。
黄家の紋印、鴛鴦彩花が描かれているから、
たいていの関所は検査なしで通してもらえるはずだけど…』

案内された部屋にいたのは、中年の男性。
「どうぞお入りください。私は砂恭区区長、加來と申します」
秀麗は加來に一礼する。
加來「お連れを連行されたようですな」
秀麗「!」
加來「この町で私どもに把握できないことはございません。あなたのお望みはなんですか?」
秀麗「金華に行く隊商に入れて欲しい。それだけです」
加來「お連れ様を置いていかれるのですか?」
秀麗「…今の私に出来ることは、金華に行くことだけです」
加來「分かりました。それがあなたのお望みなら、私どもはそれをかなえましょう」
秀麗「え」
加來「解せないというお顔ですね。理由はその木簡にあります」
秀麗「え? ただの通行手形だと思っていたのですけど」
加來「違います。その鴛鴦彩花には、少々細工がされておりましてね」
部屋の窓が閉められ、部屋が暗くなる。
すると、秀麗が持っている木簡の鴛鴦彩花の模様が、ぼうっと浮かび上がった。
秀麗「これは」
加來「七彩夜光塗料といいます。紅家直轄の商人のみが製造に成功し、占有している特別なものです」
秀麗「紅家の…」
加來「この塗料で、鴛鴦彩花の描かれた木簡を持つ者が現れたら、何をおいてもその助けになるようにと、紅家当主および当主名代から、じきじきの申し入れです」
秀麗「!!」

秀麗の脳裏に、出立の前の晩、会いに来てくれた玖琅叔父が思い出される。

加來「見返りに紅家は、七彩夜光塗料の製造法およびその派生権利を、全商連に譲渡するそうです。長年交渉を重ねても、頑として譲らなかったその権利と引き換えに、あなたの保護をと」

秀麗『玖琅叔父様…』
(黎深が名乗っていれば、ここは『黎深叔父様…』となっていたかもしれない)

加來「さて、どうします?」
秀麗「私の望みは変わりません。金華に行く隊商に雇い入れてください。下働きでかまいません」
加來「…分かりました」



荷馬車がたくさん並ぶ、隊商たち。
その中に、見知った青年を見つけた秀麗。
秀麗「あ」
そこにいたのは、千夜。
彼は秀麗に気づき、振り向いた。
秀麗「なんであなたが?」
千夜「金華まで同行したという娘がいるというから、私付きの侍女として雇うと返答しただけだよ」
秀麗「侍女? 下働きじゃ」
千夜「旅は道連れ世は情け、っていうし、一つよろしくお願いするよ」
秀麗「分かりました、侍女ですね」
千夜「ああそうだ、まだ名前を聞いていなかったね」
秀麗「え? あ、私は……香鈴といいます」
千夜「そう。よろしくね、香鈴」

なんだか、奇妙なことになってきました…









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