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彩雲国物語 第1シーズン 第二十二話 命あっての物種

アニメ「彩雲国物語」を文章で見たい!という方のために。
(管理人のツッコミつき)


『』=モノローグ
ナレ:=ナレーション

地上波再放送(金曜深夜)にあわせてレビューしています
キャストについては、公式HPを参照のこと

★第22話は秀麗たちが茶州へ出立し、直前までたどり着くお話です★





茶州。
高い塔の中にいる一人の男に、燕青が心配そうに聞く。
燕青「本当にいいのか」
男「ええ、鍵は溶かしてください」
燕青「…けどよ」
男「私はこの通り足が悪いので、ここにこもって仕事をします。州牧補佐印もここにありますし」
燕青「ん、分かった。新しい州牧連れて、必ず戻ってくるから、それまで持ちこたえろ」

扉を閉め、鍵をかけ、そしてそれを溶かす。



ナレ(邵可):
秀麗と影月が州牧として派遣される茶州は今、この彩雲国彩八州の中で、最も政治的に、不安定な土地であった。



劉輝の執務室。部屋にいるのは燕青、楸瑛、絳攸、霄太師。
劉輝「香鈴が持ってきた嘆願書の件だが、茶州は思ったよりも、深刻のようだな」
燕青「はい。州牧補佐の鄭悠舜が、自ら凶悪犯用の牢に入り、そこで仕事を続けています。茶一族もいまだに、補佐印に手が出せません。なので、茶州府の権限は、まだ悠舜および、茶州官たちに握られています」
劉輝「凶悪犯用の牢屋……確か鄭補佐は落ち着いていて、物静かで、達観した方だと思っていたが」
燕青「ええ、そうです。でも、あれで根性もあるし、やる時はむちゃくちゃやる男なんです」 楸瑛「さすが。黄尚書や黎深様の同期なだけあるな」
絳攸「ああ、ぜひ中央に欲しい方だ」
劉輝「茶家の様子は、茶太保が亡くなられてから、身内同士の争いが絶えないと聞いているが」
霄太師「当主の証である指輪も、まだ出てこんしのう」
劉輝「それに、茶太保の奥方の英姫殿はどうしている。茶太保が中央にいる間、茶州にて茶家をまとめていた才女だと聞き及んでいるが」
燕青「それが…英姫様はお屋敷の奥で見張りがつけられ、自由がままなりません。あと、茶太保のたった一人の孫娘である春姫様も、英姫様の機転で辛くも難を逃れ、某所に、かくまわれております」
霄太師「あの剛毅な英姫も軟禁状態にあるとなると、こりゃあ赴任するのも大変じゃのう」
燕青「俺の時もそうでしたが、茶州に向かう道筋で、茶家が差し向けた兇手が襲ってくるのは必定かと。護衛は、俺と静蘭だけで目立たぬように行きます」
楸瑛「しかし、いくら燕青殿や静蘭の腕が立つと言っても、大丈夫なのか?」
燕青「姫さんと影月は、命に代えても守ります」
頷く劉輝。
劉輝「新州牧二人を頼むぞ、浪燕青」
燕青「はっ」



貴陽を出る馬車が一台。
御者台には静蘭と燕青。
馬車の中には、秀麗と影月、そして香鈴。
遠ざかっていく貴陽の街を、複雑な思いで見つめながら。

秀麗『父様…行ってまいります』

見送る邵可、劉輝、絳攸、楸瑛。



馬車の中で。
影月「秀麗さんは、貴陽を出るのは初めてなんですよね」
秀麗「え? ええ。でもこれから三月(みつき)以内に、無事に茶州の州都、琥璉に着かなくちゃいけないんだもの。出立した今、すでに仕事は始まっていると思わなきゃ」
燕青「そうそう、無事に赴任することも、州牧としての責務ってわけ」
香鈴「でも通常は、ひと月半もあればつくはずですけど、この先茶家の追っ手がいつ現れるか…三月を過ぎても着任できない場合は、どうなるのですか?」
燕青「任務放棄とみなされ、自動的に州牧位を剥奪されるな」
香鈴「そんな…」
秀麗「なら、一日でも早く、琥璉に着くまでよ!」
燕青「よーし、姫さんその調子!」

そんな一行を見ていた、男たちの騎馬集団…。



夕暮れ。馬車を止めて食事を作っている一行。
影月「そう言えば、秀麗さんは野宿なんて初めてじゃないんですか?」
秀麗「ええ、でもただでさえ危険な道行きなんだから、仕方ないわ。それに倹約するに越したことないし」
静蘭「お嬢様、お湯が沸きました」
秀麗「ありがとう、静蘭」
野菜の入ったざるを取ろうとすると、それを香鈴が。
香鈴「私がやります。秀麗様は少しでも、休んでいてくださいませ」
秀麗「ああ、ありがとう」
香鈴「あの、秀麗様。私の同行を許してくださって、ありがとうございました」
頭を下げる香鈴。
かいがいしく働く彼女の姿を見ながら、脳裏に蘇る絳攸の言葉。

絳攸「お前に毒を盛ったのは、香鈴だ」

香鈴は、まだ何も話そうとしない。

秀麗『香鈴…』


別の場所では。
燕青が、追っ手たちをやっつけていた。
燕青「ふー、ったく…初日からこれかよ。先が思いやられるぜ」

燕青「はい、姫さん。お土産」
目の前に差し出された魚を見て。
秀麗「ありがとう、助かるわ」
そんな燕青に、静蘭が小声で。
静蘭「どうだった、追っ手のほうは」
燕青「ああ、ちゃんと退治してきた。しばらくは大丈夫だと思う」
静蘭「やっぱり来たか」
燕青「だな。新しい州牧に入られたら困るもんなぁ、あいつら。この先もっと厳しいぞ。専任武官殿」
静蘭「…お嬢様を守るためなら、何だってするさ」



旅は続く。
紫州を出て、野宿を繰り返していく。



街道を歩いている秀麗、静蘭、香鈴。
秀麗「貴陽を出てひと月。こうして町に寄るのは久しぶりね」
静蘭「そうですね」
秀麗「せっかくだから、どこかですこし休んでく?」
静蘭「そうしましょう。この町なら、茶家の追っ手もいないようですし」

その時。
「人さらいだー!」
秀麗「人さらい?」
街の一角が突然賑やかになる。
「なんだなんだ」「捕まえろ!」「そっちに行ったぞ!」
「捕まえてくれー!」「待てこらぁ!」
(ひ、檜山氏…)

一体何が起きたのかと思ってみていると。
燕青が影月を抱えてこちらに向かって走ってきた!
燕青「違う、違うって! 誤解だって!」

秀麗「燕青…」
静蘭「あの馬鹿」

その時、香鈴が燕青の前に進み出る。

香鈴「お父さん、どうしたの?」
燕青「??」
追ってきた男たちも、思わず足を止める。
男「お父さん?」
香鈴「ええ、私の父です。抱えているのは弟ですわ。父と弟が何か?」
毅然とした態度に、男たちは。
男「な、なんだ。俺はてっきり人攫いかと」
去っていく男たちを見て、一安心する一行。

旅を急ぐ馬車の中で。
秀麗「さっきはどうなることかと思ったわ」
静蘭「それにしてもなんだって人攫いなんかに間違えられたんだ? お前は」
影月「すみません、僕が悪いんです。古書店で今まで見たことなかった薬草の本を見つけて、上のほうの棚においてあったものですから、それで…」
燕青「見えにくいだろうと思って、俺がひょいっと抱えあげたわけ。そしたら…」
人攫いと間違えられた、と。
頭を抱える静蘭。
燕青「でもさ、香鈴嬢ちゃんの機転で、助かったよなぁ」
秀麗「本当よ。ありがと香鈴。あなたが一緒にいてくれて、よかったわ」
香鈴「いえ、そんな…」
影月「それにしても、あの場面でとっさにあんなことを思いつくなんて、すごいです」
香鈴「あなたが余計なことなさるからですわ! 少しは反省なさったら?」
影月「す、すみません…」
秀麗「影月君もこう言ってることだし、大目に見てあげて」
香鈴「秀麗様がそうおっしゃるなら…」
そう言って、一つため息を落とす。
その様子を見て、影月は御者台の燕青に言う。
影月「すみません、どこかに止められる場所があったら止めてください」

香鈴の手のひらに、一粒の丸薬をのせて。
影月「香鈴さん、これを」
香鈴「何ですの? この怪しい丸薬は」
影月「少しお熱があるようですから、ひどくなる前にと」
秀麗「えっ」
影月「野宿が続いてましたし、体力も落ちているでしょ?」
秀麗は香鈴の額に手を当てて。
秀麗「すごい熱だわ。香鈴、なんですぐに言わないの」
香鈴「たいしたことありません。これくらい平気です」
燕青「頼むぜ香鈴嬢ちゃん。おかしいと思ったら、すぐに言ってくれなきゃ困る。無理されて悪化したら、それこそ迷惑だ」
香鈴「申し訳…ありません…」
影月「具合が悪くて一番辛いのは、香鈴さんなんですから。さ、飲んでください」

静蘭は御者台を降りた。
秀麗「静蘭、どこ行くの?」
静蘭「少し先へ行って、様子を見てきます。この山を降りた先に、砂恭の町があるはずですから」
馬に乗って出かけていく静蘭。
影月「静蘭さんて、かっこいいですよねー」
香鈴「確かに。どこか抜け作のあなたとは大違いですわね」
そう言って丸薬を口に含む。
影月「ですね」
香鈴「…苦っ」
影月「ああ、すみません」
そんな二人を見ながら、秀麗は燕青に言う。
秀麗「今夜は、宿を取るわよ」
厳しい顔の燕青。



砂恭の街で宿を取った一行。
寝ている香鈴を見ている影月。
秀麗「影月君、交代しましょう。あなたも少し、休んだほうがいいわ」
影月「じゃあこれを。香鈴さんが目を覚ましたら、飲ませてあげてください」
秀麗「分かったわ」
香鈴の額の布を取り替える秀麗。
目が覚める香鈴。
秀麗「ごめん、起こしちゃった?」
香鈴「秀麗様…」
起きようとする香鈴を止めて。
秀麗「だめよ。まだ寝てなきゃ」
香鈴「申し訳ありません。秀麗様」
秀麗「気にしないの。むしろ今まで、野宿ばっかりさせてた、私の責任だわ。ごめんね」
香鈴「そんな、違います」
秀麗「いいから寝なさい。今は、ゆっくりと養生することだけ考えて」
香鈴「ごめんなさい」
香鈴の額に、ぬらした布を置いて。
秀麗「早く元気になるのよ、香鈴」
だが香鈴は、何かに我慢できない様子で繰り返す。
香鈴「申し訳…ありません…」
秀麗「そんなに謝らなくてもいいわ」
香鈴は起き上がった。
香鈴「私は、秀麗様にこんなにしていただく資格は、ありません」
秀麗「何を言うの?」
香鈴「私は、秀麗様に、謝らなければならないことがあるのです。
1年前の事件のことです。
すべて、私がやりました」



静蘭が、一人起きていた。
影月も長いすに横になっていて。
静蘭「お嬢様、香鈴の具合はどうです」
秀麗「あ、うん。疲れが一気に噴きだしたって感じ。燕青は?」

その頃、茶州からの追っ手を退治中。

静蘭「先ほど町の様子を見に行くといってましたが、また人攫いと間違われてるんじゃないですか?」
秀麗「静蘭、それ洒落になってないから。でも原因はあの髭よね。だから剃れって言ってるのに」
静蘭「でも、あの格好の燕青が御者でなかったら、ここまで誰にも見破られずには来られなかったと思いますよ。残念ながら、私が髭を伸ばしてどんなに頑張っても、あそこまで不審人物にはなりませんからねぇ」
秀麗「静蘭の髭面…」
想像する秀麗。
(いや、あまりしないほうが…)
秀麗「でもね、あんまり燕青ばっかりに迷惑かけるのも…」
静蘭「あれはお嬢様たちの副官です。迷惑を引き受けるのが仕事なんです。大体あいつは、迷惑とか思ってませんから」
秀麗「そっか」
そういって、湯飲みにお湯を注ぐ。
静蘭「もちろん、私もです」
秀麗「そんなの、昔っからそうじゃない」
湯飲みの中の茶葉(花)が、きれいに広がる。
秀麗「でも、今から言っておこうかしら。ごめんなさいって」
静蘭「お嬢様が入れてくださるお茶ひとつで帳消しですから、ご心配なく」
そう言って、入れてくれたお茶を飲む。
静蘭「そう言えば、この辺のお茶は甘いんですよね。確か、甘露茶…でしたか」
秀麗「初めて飲んだわ、こんな甘いお茶。くどくなくてすごくおいしい」
そんな秀麗に、静蘭は首を振った。
静蘭「初めてじゃないはずですよ。昔ここを通った時も飲んで、お嬢様もたいそうこのお茶がお気に入りで」
秀麗「嘘!」
静蘭「本当です。お嬢様が二つか三つくらいの時に、ご飯より欲しがって大変でした」
秀麗「そう言えば、静蘭とは茶州で出会ったんだったわね。前に父様から聞いたわ」
静蘭「……」
静蘭にとって、それはあまり思い出したくない過去。
秀麗は小さく微笑んで。
秀麗「静蘭、私ね、静蘭が一緒に来てくれて嬉しかった」
静蘭「私はお嬢様と影月君の、専属の護衛官ですから当然です」
秀麗「そうだけど、そうじゃなくて」
静蘭「…?」

秀麗「私、官吏になったからには、地方でもどこでも、
自分ひとりで赴任する覚悟は出来ていたつもりだった。
静蘭の人生は、静蘭のものよ。
本当ならどんな道だって選べるのに…
なのに、主上から剣を拝受して、私についてきてくれた。
そのことが嬉しいの。
昔、茶州で何があったのかは知らないし、話したくないなら聞かないわ」
秀麗は立ち上がり、静蘭の手を取って。
秀麗「静蘭が私のこと、見ていてくれるように、私も静蘭のこと、ちゃんと見てるから。
だからとりあえず、私には気を遣わないのよ。
思いっきり悩んでますって、暗い顔してかまわないんだからね」

静蘭はにっこり笑って。
静蘭「茶州へ行くのが嫌なわけではないんです。
あそこは、旦那様と奥様とお嬢様と出会えた所でもあるんですから。
ただ、心の整理が出来ていないだけなんです。
だから整理がつくまでは…そうですね、ちょっと暗く見えるかもしれません。
その時は、この甘露茶を入れて、一緒にお茶をしていただけますか?」
秀麗「それだけでいいの?」
静蘭「ええ」
秀麗「分かったわ。じゃたくさん甘露茶を買わなくちゃね」
静蘭「高いですよ」
秀麗「馬鹿ね、静蘭の気分転換と引き換えなら、安すぎるわ」

突然、静蘭の口調が厳しくなる。
静蘭「で、いつまでそこで聞き耳立ててるつもりだ、燕青」

燕青「いやぁ、ただいまぁ!」
同時に影月も起き上がる。
影月「すみません」
燕青「なんか、いい場面だったから、邪魔しちゃ悪いなぁと」
影月「同じく…」
秀麗「お帰りなさい、燕青。二人ともお茶飲む?」
燕青「おう」
影月「はい」
燕青「それにしてもさ、静蘭て姫さんと二人だと、ホント素直だよなぁ。お前が性格良く見えるのって、姫さんと邵可さんの前だけだよなぁ。あ、俺も甘露茶入れて、一緒にお茶してやるからな」
静蘭「むしろ邪魔だ馬鹿」

秀麗『そういえば燕青って、私たちのところに来る前の静蘭を知ってるのよね。
もしかしてこの二人が出会ったのも、茶州だったのかしら』

(と考えている秀麗の前で↓)
(燕青「うわぁひでぇ、俺だってお前のココロの支えになぁ!」)
(静蘭「お前に支えてもらうくらいなら、そこらの米つきバッタに泣きついたほうがましだ」)



翌朝。
燕青「さて、朝飯も食ったしはじめるか」
地図を広げて。
燕青「この砂恭から先の崔里関塞を抜けたら、茶州だ。もう目と鼻の先だぜ」
影月「関所を抜けるんですか?」
燕青「抜ける。危険だが、跡で関所を通らずに入ってきたなんて難癖つけられるのも、面倒だからな」
秀麗「赴任するのもほんと、一苦労よね」
燕青「茶州は、特別だからな」
影月「そう言えば、燕青さんはいくつで州牧になられたんですか?」
燕青「あー、確かちょうど10年前だから…今の姫さんと同じ、17か」
(ということは、燕青は今27歳。そして静蘭は同級生)
秀麗・影月「17!?」
燕青「うん、17」
静蘭「それにしても、10年近く同じ州の州牧やってた奴は、お前くらいじゃないか?」
燕青「はは、王位争いの間、中央に忘れ去られてただけだって」
静蘭「揉め事の絶えなかった茶州を、どうやって朝廷が忘れるくらいにまで静かにさせたんだ」
秀麗「良く考えれば、そうよね」
影月「すごいです、燕青さん」
ちょっと照れくさい燕青。
燕青「じゃ、話を戻して、こっから先の行程なんだけどな。ま、大雑把に言うと、こっから茶州州都琥璉までは、今までの早さで大体ひと月。とはいえひとまずは、目先の崔里関塞だ」
静蘭「砂恭での噂は」
燕青「崔里関塞じゃ、紫州から入ってくる12,3の少年、および16,7の少女なら、誰でも一時拘束だってよ。しかも、どうせ茶家の馬鹿どもの仕込みだろうけど、一度拘束されちまうと、夏が過ぎるまでは関所につかまりっぱなしらしいぜ」
秀麗「つまり、州牧赴任期間が過ぎるまでってことね」
静蘭「やはり分散するか」
秀麗「え?」
燕青「それっきゃないよなー。俺って茶州では有名人だからさぁ、俺が姫さんたちと一緒にいたら、新州牧はこいつらか!ってバレる危険性、めっちゃ高いもんなぁ。つーことで、細かいことは後でつめるとして、とりあえずは一番大事なことの確認な。目指す先はまず、州都の一歩手前、商業の都、金華。地図は頭に入ってるな?」
頷く二人。
燕青「ここに行かなきゃ、何も始まらないからな。どんなことが起こっても、姫さんと影月はここを目指せ。いいか、絶対だ」
秀麗「燕青、なんかその言い方、いやな予感がするんだけど」
影月「そ、そうですよー」

その時、香鈴が起き上がり。
秀麗「香鈴?」
寝台に歩み寄る秀麗。
香鈴「秀麗様、申し訳ありません。私、随分眠ってしまって…」
秀麗「まだ少し顔が赤いわ。寝てなきゃだめよ」
香鈴「いいえ、おかげさまでだいぶよくなりました」
香鈴は寝台の上で深く頭を下げる。
秀麗「香鈴」
香鈴「許されることではないと分かっています。ですが、どうか私をこのままおそばにおいてくださいませ! 命を懸けて、秀麗様をお守りする所存でございます!」
秀麗はそんな香鈴に。
秀麗「……香鈴、実は出立前に絳攸様から聞いて知ってたの」
香鈴「え? ではなぜ私の同行を許してくださったのですか?」
秀麗「だって私、やっぱり香鈴のことが好きなんだもの」
香鈴「…しゅ、秀麗様…」
秀麗「話してくれて、ありがとう」
香鈴「秀麗様…」
秀麗「私が正式に州牧として着任した暁には、ちゃんとそばにいてちょうだいね」
香鈴「はい! 命に代えましても、必ずや秀麗様をお守り通してみせます!」
秀麗は微笑んで。
秀麗「私のために命を粗末にしないで。命あっての物種って言うじゃない? だから、ね」
香鈴「秀麗様…」

その時、燕青や静蘭が部屋に入ってくる。
秀麗「どうしたの?」
窓から外を見下ろす燕青の表情が厳しい。
香鈴「一体何が」
静蘭は香鈴を掛け布でくるりと包み。
静蘭「どうかお静かに。影月君、頼みます」
影月「はい」
秀麗「ちょちょ、どうなってるの?」
燕青「嬢ちゃん、これ持って」
秀麗は燕青に、いきなりなにやら包みを渡されて。
秀麗「え? わぁ!」
足を払われ、そのまま燕青に寝台の下に押し込まれる。
秀麗「いい、痛い! 私は荷物じゃないわよ! 燕青?」
静蘭「黙ってお嬢様。これから先は、一言も声を発してはいけません」
秀麗に見えるのは、静蘭と燕青の足だけ。
燕青「な、忘れんなよ姫さん。あんたは州牧で、紅家直系のお姫さんだってことをな」

秀麗『燕青…』

燕青「何があっても金華を目指せ。いいな」

次の瞬間、部屋になだれ込んできた兵たち。
兵「我々は崔里関塞の者だ! 大人しくしろ」

さて、秀麗たちは茶州に入れるのか!?









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