スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。






彩雲国物語 小説、アニメ、ドラマCD、応募者特典情報サイトトップ >彩雲国物語(アニメ) 第1シーズン >>彩雲国物語 第1シーズン 第十七話 藪をつついて蛇を出す

彩雲国物語 第1シーズン 第十七話 藪をつついて蛇を出す

アニメ「彩雲国物語」を文章で見たい!という方のために。
(管理人のツッコミつき)


『』=モノローグ
ナレ:=ナレーション

地上波再放送(金曜深夜)にあわせてレビューしています
キャストについては、公式HPを参照のこと

★第17話は紅玖琅初登場(正確には2回目)のお話です★
(置鮎氏はぴったりですな)





ナレ(邵可):
邵可の元を、弟・紅玖琅が訪れたちょうどその頃、秀麗はなかなかの危機的状況に陥っていた。



コウ娥楼。
※コウ娥楼の「コウ」は「女+亘」ですが、機種依存文字のためカタカナ表記しています。
逃げられないように囲まれている秀麗・影月・静蘭。
秀麗「胡蝶妓さん…」
胡蝶「秀麗ちゃん、悪いんだけど、しばらくここに滞在してちょうだい。
そうお望みの方がいらっしゃるの。
断る権限はなくてよ。
無位無官のあなたたちが逆らえるようなお人じゃないわ。
それに、大切なお父様に何か良くないことが起こって欲しくはないでしょう?」
秀麗「…分かりました」
静蘭「お嬢様!」
秀麗は肩越しに静蘭を見て、小さく首を横に振る。
その時、影月が小さく静蘭に言った。
影月「静蘭さん、主上からお預かりしたものです。よろしければ使ってください」
そう言って、王家の印をこっそり手渡す。
秀麗と影月はコウ娥楼に入っていく。
立ち尽くす静蘭に。
胡蝶「ほうら、早くお帰りなさい」
胡蝶をにらみつける静蘭。
胡蝶「怖い怖い。でもあなたは何も出来なくってよ。藍様みたいに権力のある武官さんなら話は別だったでしょうけど。残念ね」
そしてくるりと背を向ける。
胡蝶「今のままでは、大切なものは守れなくってよ」



とある屋敷では。
男「ふっふっふ、そうか。全て計画通りか。これであの小娘を朝廷から追い出せる」
部下「あの小僧はいかがいたしましょう」
男「こちらが下手に出てると思ってわしの顔に泥を塗ったガキだ。いずれ官吏の道を閉ざしてやるとして、とりあえずはお前らで少し可愛がってやれ」
部下「はい」
男「それにしてもあんな小娘の後見人をかってでるとは、紅黎深も存外うかつな男よ。これを機に一気に追い落としてくれる」
高笑いする男。



紅邵可邸。
玖琅「私が来ることを予期していたようですね」
邵可「うん、影月君から聞いていたから。お金を全部田舎に送ってしまい、一文無しだった彼に、一晩の宿と食事を与えてあげたんだろう?」
玖琅「………」
邵可「影月君に秀麗の事を聞いたそうだね。一宿一飯の恩と引き換えに」
玖琅「まったくぺらぺらと」
邵可「秀麗の事を調べただけじゃない。いろいろと手を回してくれてたようだね」
玖琅「あなたは自分の娘がどんな状況にいるか本当に分かっているんですか。私がしなければ、あの娘がどのような嫌がらせを受けたか」
どん、と拳で机を叩いて。
玖琅「私はあなたが嫌いです。あなたを家から追い出したことをいささかも後悔していません」
邵可「ああ、私もそう思うよ」
玖琅「それでもあなたは私たちの兄であり、紅家の長子なんです。そしてあの娘は、この国初めての女性官吏は、紅家直系の姫です」
邵可「?」
玖琅「秀麗には李絳攸の妻となっていただく」
邵可「……」
玖琅「次世代の紅家のために」

その時、窓の外から紅家の影の者が。
影「玖琅様」
玖琅「何があった」
影「黎深様が宮城にて拘束された由」
玖琅「理由は」
影「秀麗姫の国試及第に関する不正行為とのこと」
玖琅「ふん、愚かな。しかし黎兄上、わざと捕まったか」
影「それと、秀麗姫なんですが」
邵可「?」
玖琅「どうした」
影「杜影月と共にコウ娥楼において監禁されております。また、明日宮城にて、姫の査問会が開かれることになりそうです」
玖琅「なるほど、それに出席させないために監禁したわけか…ふん、いいだろう。紅一族を敵に回すとどうなるか、目に物を見せてやる」
(きゃーこわいー)



劉輝の執務室。
楸瑛「主上、静蘭より紫紋の文が届きました」
劉輝「紫紋だと? あれは影月に渡したはずだが…」
文を読む劉輝。
劉輝「なっ」
楸瑛「どうなさいました?」
劉輝「秀麗が監禁された」
楸瑛「ほう、秀麗殿もですか」
劉輝「も?」
楸瑛「紅黎深殿も捕縛されたとのことです」
劉輝「なぜそうなる!?」
楸瑛「例の噂が随分と広まっておりますから」
劉輝「秀麗が不正に及第したというやつか」
楸瑛「国試をつかさどる礼部が噂の発信源のようですから、妙な信憑性があったんでしょうねぇ。あの馬鹿も今のうちにと思ったんでしょう。そして愚かにも黎深殿を…」
劉輝「よりによって黎深に手を出すとは…」
楸瑛「ところで、我が藍家の情報網に、もう一つひっかかったものがあるのですが」
劉輝「何だ」
楸瑛「紅家名代、紅玖琅殿が貴陽へ来られております」
劉輝「はぐっ」
劉輝は机に突っ伏した。
楸瑛「今は邵可様の屋敷を訪れているようで」
劉輝「はあ、なんて間の悪い」
楸瑛「確かに。被害を最小限にするよう手を打たなければなりませんね」
劉輝「もう少し奴が調子に乗ってくれたら、やりようもあるのだが」

と、その時。
絳攸「安心しろ。調子に乗せた」
劉輝「何だそれは」
絳攸が部屋に入ってきて。
絳攸「紅秀麗の進士返上を求める連名書だ。しっかりと奴の名前が書いてある。すぐにでも査問会を開けだとさ」
劉輝「でかしたぞ絳攸! いいだろう。明日の正午にでも査問会を開いてやろうではないか。その前に」
剣を手にする劉輝。
劉輝「秀麗のところへは余が行く」
絳攸「今夜は忙しくなるぞ。早く帰って来い」
その迫力に。
劉輝「わ…分かった…」
(ちょっと気弱な劉輝)



右羽林軍将軍の部屋。
白大将軍「よう、ようやく来たか。いい面してやがる。覚悟を決めたな」
その前に立っているのは、静蘭。
静蘭「白大将軍、お願いがあります」
白大将軍「おう聞いてやるよ、その願い。何が欲しい」
静蘭「剣を。大切な者を守るための剣を刷ける立場と、地位と権力を…!」



コウ娥楼の一室。
落ち込んでいる秀麗。
秀麗「胡蝶妓さんにも嫌われちゃった…町のみんなにも」
影月「皆さん、ちょっと戸惑ってらっしゃるだけですよ」
秀麗「…ねえ、影月君は何で官吏になろうと思ったの?」
影月「お金がたくさんもらえるからです」
秀麗「え?」
影月「本当は、お医者になりたかったんです。それで、病気の人を助けたいって。でもお医者って貧乏なんですよね」
秀麗「そ、そうなの…」

影月「僕を育ててくれた道主様はそうです。
もらうお金より、お薬の材料代に支払う方が多くって。
もともと、ほとんどお金を取らないで、病気の人をみてあげてた人です。
僕たちの食べるものがないのは別にいいんです。
ただ、お金がないせいで、頼ってきた人を助けられない時があって…
そういう時は、すごく辛い顔をされるんです。
お金が全てじゃありませんけど、あったほうがたくさんのことができます。
僕、道主様のあんな顔を見たくないんです」

秀麗「…ありがとう、影月君」
影月「え?」
秀麗「私、思い出したわ。なんで官吏になろうと思ったのか。官吏になって、何をしたかったのか。町の人たちがどう思おうとも、私はみんなのために一生懸命働くわ」

その時、乱暴に部屋の扉が開き、男たちが入ってきた。
男「このガキかあ? 旦那に恥かかせたってやつ」
影月「な、なんです?」
男「ちょっくら遊んでやれってご命令だ」
男「お前、酒が飲めねぇんだってな」
男「そりゃおもしれえ。飲ませたらどうなるか、やってみようぜ」
影月「ええっ、だめですお酒は!」
男「いいから来いっていってんだよ!」
秀麗「影月君!」
男「お前も馬鹿だよなぁ。大人しくだんなの娘婿になってりゃ良かったのによぉ。さあ、酒の味をたっぷりと教えてやるぜ」
秀麗「影月君!」
立ち上がろうとした秀麗。だが別の男に抑えられる。
男「おっと、お嬢ちゃんはここで大人しくしてな」
秀麗「離してっ」
男「一人がつまんねぇなら相手してやるぜ。ここはそういう場所だしな」
身の危険を感じる秀麗。
男「さあ来いよ」
影月「秀麗さん! 秀麗さん!!」
無理やり連れて行かれる影月。
男たちが秀麗ににじり寄る。



貴陽への道中。
木の下で休憩している香鈴と燕青。
燕青「予定より随分早く着きそうだ。頑張ったな、香鈴嬢ちゃん」
香鈴「少しでも先を急がなければ。秀麗様にもお会いして…」
燕青「殺そうとした相手に会うの、怖くねぇ?」
香鈴「怖いですわ。でも、もう逃げません。自分のしたことから目を背けるのはやめると、大奥様と自分に誓いました。何より私は、秀麗様を…」
燕青「姫さんが好きだったんだな」
香鈴「今の私が、そんなこと言えるはずありません。私は一生、償い続けるつもりです」
燕青「そうだな。姫さんが許してくれても、そうするべきだ。相手が許すか許さないかなんて関係ない。犯した罪は一生ついて回る」
香鈴「容赦がないですね。でも、今はその方が心地いいです」
燕青は香鈴に手を差し出す。
燕青「さ、もう少し踏ん張るぞ」
香鈴「はい」



コウ娥楼。
必死で抵抗する秀麗。
秀麗「やめて!」
男「いい加減あきらめろ!」
秀麗「いや!」
だが動きを止められてしまう。
男「へっ、てこずらせやがって」
秀麗大ピンチ! のその時。
(王道です)

男が数人、扉を壊しつつ投げ出されてきた。
秀麗「!」
影月→陽月「またお前か。本当にトロい女だな」
陽月の前に男たちが立ちはだかる。
陽月「俺に酒を飲ませたのが運のつきだったな」
剣を振りかぶった男を、拳一つで倒して。
陽月「女! 俺はお人よしの影月とは違う。いつでも助けてもらえると思うな!」
といいながら、もう一人を倒して。
陽月「だが今日は特別だ。影月も怒っていたようだしな」
男「くっそー」
その時。
胡蝶「なんだい騒々しいねぇ」
秀麗「胡蝶妓さん…」
男「ちょうどいい、胡蝶、ここの用心棒たちも連れて来い!」

胡蝶「馬鹿をおいいでないよ」

男「…なに?」
胡蝶「あたしを誰だと思ってるんだい」
男「てっめぇ~」
胡蝶に向かって走っていくが、左右から出てきた用心棒に吹っ飛ばされる。

唖然としている秀麗の前に、陽月が立ちはだかる。
秀麗「影月君…」
陽月「俺は陽月だ」
秀麗「あ、ありがとう、陽月君」
陽月「礼なら」
いきなり、陽月は秀麗のあごを取り。
陽月「体で返してもらおうか」
秀麗「え? はあ?」
顔を寄せられて焦る秀麗。
秀麗「え……ちょっ……」
だが。
陽月「ち、時間切れか」
という言葉を最後に、秀麗にもたれてぐっすり眠ってしまった…
(影月に戻っている)

男「胡蝶、てめえ、裏切りやがったな! 旦那にさんざん可愛がってもらっておきながら!」
胡蝶「あたしはもともとこっち側さ」
男「え」
胡蝶「それに、この胡蝶を可愛がるだって? 100年早いんだよ!
男の周りはコウ娥楼の用心棒ですっかり囲まれている。
胡蝶「コウ娥楼の胡蝶を、よくも見くびってくれたもんだね。挙句にあたしの大事な秀麗ちゃんにまで」
秀麗「あたしの大事な…?」
胡蝶「やりな」
男はいっせいに捕まえられる。

胡蝶「よく頑張ったね」
秀麗に向き直った胡蝶。それを見た秀麗は。
秀麗「胡蝶妓さん。いつもの胡蝶妓さんだ!」
胡蝶「馬鹿だねぇ。10年近く面倒見てきた娘を放り出すわけないだろ」
秀麗「だって、だって、胡蝶妓さんにまで嫌われたらどうしようって」
泣き出す秀麗を抱き寄せて。
胡蝶「悪かった、悪かったね。あんたがここにいる姿を見せるわけにはいかないから、来るななんて言っちまって…ああ、泣かないでおくれ」
秀麗「違うの。なんだか安心したら急に……今まで泣かないで来たのに」
胡蝶「ああ、偉かったね。
男相手に戦うのに、男相手に泣きつけないと思ったんだろ?
たとえ静蘭にでもね。
誇りに思うよ、かわいいあたしの娘。
でも、もう涙をお拭き。まだまだやることは残ってる」
秀麗「やること?」
胡蝶「あんたのためだからと言われて、藍様の頼みを引き受けたんだ」
秀麗「藍様? 藍将軍も関係してるの? もう何がなんだか…」
足音が近づいてくる。
胡蝶「それを説明してくれる二人が到着したよ」
その言葉通り、静蘭と劉輝が到着した。
劉輝「秀麗!」
静蘭「お嬢様!」
秀麗「劉輝…静蘭…」



紅邵可邸。
玖琅「その書簡を貴陽にいる紅家の者全てに届けよ」
影「承知」
影はすぐに消えた。
邵可「本当にやるのかい?」
玖琅「ええ、私は怒っているんです」
邵可はため息をつく。
邵可「藪をつついて蛇を出すとは、まさにこのことだな」



コウ娥楼。
秀麗「茶家当主の指輪?」
劉輝「そうだ。茶太保後の死後、行方不明になっているその指輪を利用し、欲望を満たそうとしている男がいるのだ。それだけじゃない。自分の地位を利用して様々な不正を働き、私腹を肥やしている。しかしどんな相手であろうと、証拠もなく捕まえるわけにはいかず…」
秀麗「そのしっぽをつかむために、私を利用したのね」
劉輝「すまない、怖い思いをさせてしまった」
秀麗「いいの。でも私をここに足止めして、その人どんな得をするの?」
劉輝「明日の正午、秀麗の査問会が開かれる」
秀麗「何ですって?」
劉輝「女性が官吏になるのが気に食わないのだ。それで、秀麗の国試及第は不正を行なったためだと主張し、査問会を開く手はずを整えた。そして秀麗を足止めし、出席しないのは不正が明るみに出るのを恐れ逃げ出したのだと、主張したいのだ」
秀麗「なんて卑怯な。分かったわ。その査問会に出て、私の実力を認めさせればいいのね。受けて立つわ」
(おお、かっこいいぞ秀麗)
劉輝「とりあえず、今夜は静蘭と影月も一緒にここに泊まったほうがいい。守りは完璧だろう? 胡蝶」
胡蝶「ええ、任せてください」
劉輝「明日の登城には、間違いなく妨害が入るだろうが、証拠集めの一端として、大げさな護衛はつけない。自力で来て欲しい」
秀麗「私腕っ節弱いわよ」
劉輝「だから静蘭をつける。今の静蘭なら、どんな相手でも遠慮する必要はない」
秀麗「どういうこと?」
劉輝「いずれ分かる」
そう言って、劉輝は後ろに控える静蘭を見た。微笑む胡蝶。
秀麗「分かったわ。で、あのね、私気づいたことがあるの」
劉輝は分かっていたかのように、懐から書類を出した。
劉輝「これだろ?」
秀麗「どうして」
劉輝「よく出来ている。完成すれば不正を告発する有力な証拠の一つとなる」
秀麗「…劉輝…」
劉輝「静蘭が王家の紋印を持っているから、それを使って送ってくれ。あの紋印を押された文は、紫紋の文と呼ばれ、最優先で余の元に届けられる」
秀麗「………」
(劉輝の手はずにちょっと感心している?)
劉輝「どうした?」
秀麗「ううん……分かったわ。明日のお昼までね」
静蘭「お嬢様、一度お屋敷に戻っていいでしょうか。旦那様が心配です」
秀麗「そうね、お願い」
胡蝶「じゃあたしは、この坊やを寝かせてくるよ」
用心棒に影月を運ばせて、部屋を去る胡蝶。
静蘭「それでは私も」

部屋に取り残された劉輝と秀麗。
秀麗「ねえ」
劉輝「ん?」
秀麗「ありがとう」
劉輝「え?」
秀麗「あなたも絳攸様も藍将軍も、私が宮城に来てから、何一つ甘やかさなかった。誰かに狙われる可能性も、私を利用することも、正直に話してくれた。一年前とは違って…」
劉輝「……」
秀麗「一年前は誰も何も言ってくれなかった。私は守られていたのよね。箱入りのお姫様のように」
劉輝「秀麗…」
秀麗「でも今は違う。それが嬉しいの。対等に話すべき官吏として扱ってくれてありがとう。それと、助けに来てくれて嬉しかったわ」
秀麗は真っ直ぐに劉輝を見た。
秀麗「一つだけ聞かせて。二度は聞かない。だから嘘はなしよ。私は胸を張って官吏になれる? やましいところは本当にない?」
劉輝「ない」
秀麗「…それなら、もう何も怖くないわ」
劉輝「余の願いも、一つ聞いてくれると嬉しい」
秀麗「なに」
劉輝「配属が決まった後でいい。余のために、時間を割いてほしいのだが」
秀麗は視線をさまよわせた。
劉輝「秀麗?」
秀麗「……暇があったらね」

その時、胡蝶がひょいと顔を出した。
胡蝶「ちょいと、主上さん?」
劉輝「どうした」
胡蝶「連絡が来たよ。四半時前をもって城下の機能半分停止、即刻帰ってこないと殺す、李絳攸……だって♪」
劉輝「うぅ~…」
秀麗「?」
頭を抱える劉輝。
劉輝「…今夜は帰りたくない…」



劉輝の執務室。
劉輝「これが全て嘆願書か?」
机の上には書簡の山。
絳攸「そうです」
劉輝「ん~まさかここまでやってくれるとは」
絳攸「城下の紅一族が一斉に仕事を放棄したんです。お陰で貴陽は今大混乱。続々と嘆願書が届けられているんですっ」
劉輝「全て玖琅の仕業か…」
絳攸「これでも手加減してくれてます」
楸瑛「本気を出したらこの国は倒れますからねぇ」
劉輝「これが紅家の力か……紅尚書は今どうしている」
絳攸「離宮の一つを丸ごと占拠して、自発的軟禁状態に入っています」
劉輝「自発的?」
絳攸「嫌がらせですよ」
劉輝「なんと迷惑な」
楸瑛「それにしても、ここまで堂々かつむちゃくちゃだと、もう圧力じゃない気がしてくるから、不思議だよね」
劉輝「楸瑛、今の状況でどれくらい持つ?」
楸瑛「もたせろと言われれば藍家の力でいつまででももたせますが、うちが出るまでもなく、一日で治めてくると思いますよ。逆に言えば、一日で片付けろと言ってるんですよ、玖琅殿は」
劉輝「分かった。とっとと片付けてしまおう。それにしてもあやつ、黎深なんぞに手を出すとは、何を考えてるんだか」
楸瑛「…もしかして、黎深殿が紅家の当主だと知らないのでは?」
劉輝「なに?」
絳攸「確かにあの人は、公の場で紅家当主だと明かしたことはないな」
劉輝「それは…盲点だった」
楸瑛「そうそう、燕青から連絡がありましたよ。明日の夕方には着きそうだと」
劉輝「正午までに到着せよと、勅命を出す」
楸瑛「恐れながら…」
劉輝「ん?」
楸瑛「…すでに、出しております」



コウ娥楼。
「売れる酒がないだって? 酒屋の癖してそりゃどういうことだ」
「知るかい、貴陽中の酒屋の流通が止まっちまってるんだ」
「一体全体どうなってんだ?」
そんな会話を聞いている秀麗。
(秀麗の叔父さんの仕業なんだが)

胡蝶「あーあ、こりゃ店は開けないね。街中が混乱してるんだ」
そこへ影月がやってきた。
影月「すみません、随分寝てしまって」
秀麗「影月君、元に戻ったのね」
影月「はい。あのー、お役に立ちましたか?」
思わず顔を見合わせる秀麗と胡蝶。
秀麗「……ばっちりよ」
影月「妙な間が気になるんですけど」
秀麗「そんなことよりも」
影月「え?」

秀麗は劉輝が持ってきてくれた二人の課題の書簡を見せる。
秀麗「明日のお昼までに仕上げなきゃいけなくなったの」
影月「ええ? うわ、ぎりぎりですね。さっそくかかりましょう」
秀麗「ねえ、影月君」
影月「はい」
秀麗「いつ頃から気づいてたの?」
影月「靴磨きをしてると、いろいろな噂が入ってきましたから。それから、これ」
影月は一つの書類を差し出す。
影月「上位で国試に合格して、俸禄をもらった人たちに確認したんですけど」
それを読んだ秀麗は、満足そうに影月を見た。
秀麗「お手柄よ、影月君。さ、やるわよ」
影月「はいっ」



とある屋敷では。
男「馬鹿な! なぜ黎深にこれほどの力があるのだ!
いや、まだ災いは我が身にまでは振りかからぬ。
養生と称して紫州を出よう。あとはこの指輪さえあれば……
すべてはあの小娘のせいだ! 明日の正午に間に合わせてなどやるものか!」



戸部。
景侍郎「鳳珠! こ、これを! 秀くんたちの課題が届きました」
景侍郎から受け取った書類を読む黄奇人。
景侍郎「あなたが少しずつ紛れ込ませていたものを、ここまで見事に拾ってくるなんて」
黄奇人「さあ準備をしろ。今日が勝負どころだ」



そして劉輝も。
劉輝「楸瑛、絳攸、いくぞ」
いざ査問会に赴こうとしていた。
楸瑛・絳攸「はい」



紅邵可邸。
事の成り行きを見守る邵可と玖琅。



コウ娥楼。
疲れ果てて眠っている秀麗と影月。

これから査問会だぞ!









上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。